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02月27日-03号

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  1. 奈良県議会 2023-02-27
    02月27日-03号


    取得元: 奈良県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    令和 5年  2月 定例会(第353回)令和5年2月         第353回定例奈良県議会会議録 第3号             令和5年2月27日(月曜日)午後1時1分開議   --------------------------------    出席議員(40名)      1番 小村尚己        2番 樋口清士      3番 植村佳史        4番 浦西敦史      5番 山中益敏        6番 亀甲義明      7番 小林 誠        8番 階戸幸一      9番 川口延良       10番 疋田進一     11番 池田慎久       12番 乾 浩之     13番 大国正博       14番 太田 敦     15番 佐藤光紀       16番 清水 勉     17番 松本宗弘       18番 西川 均     19番 阪口 保       20番 井岡正徳     21番 田中惟允       22番 中野雅史     23番 山本進章       24番 奥山博康     25番 小林照代       26番 山村幸穂     27番 尾崎充典       28番 藤野良次     29番 和田恵治       30番 荻田義雄     31番  欠員        32番  欠員     33番 米田忠則       34番 出口武男     35番 岩田国夫       36番 小泉米造     37番 今井光子       38番 森山賀文     39番 田尻 匠       40番 粒谷友示     41番 秋本登志嗣      43番 川口正志    欠席議員(1名)     42番 中村 昭   --------------------------------    議事日程 一、当局に対する代表質問   -------------------------------- ○副議長(西川均) これより本日の会議を開きます。 会議時間を午後6時まで延長します。 ただいまより当局に対する代表質問を行います。 順位に従い、38番森山賀文議員に発言を許します。--38番森山賀文議員。(拍手) ◆38番(森山賀文) (登壇)皆様、こんにちは。橿原市・高市郡選挙区選出、森山賀文でございます。議長のお許しを得まして、ただいまから新政ならを代表し、質問を行わせていただきます。 その前に、今日午前中、明日香村において総代会総会が開催され、地元の山本議員、亀甲議員、そして私、森山の3人で上がらせていただきました。明日香村は、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録に向け、最も多くの関連資産を抱える自治体ですが、改めて、世界遺産登録に向けた期待の思いを聞かせていただきました。本日の代表質問は、この件を含む10問について質問します。荒井知事をはじめ、教育長、警察本部長におかれましては、どなたにも分かりやすい答弁をお願いいたしまして、質問に移らせていただきます。 まず、初めに、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催について、知事にお伺いします。 令和13年、本年から8年後ですが、本県での開催となる国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催に向け、新たなスポーツ拠点施設を整備していくため、昨年10月18日に、県と橿原市の間で、「奈良県と橿原市との新たなスポーツ拠点施設整備の推進についての協議に関する覚書」が締結されました。協議事項は、新たなスポーツ拠点施設の整備のほか、県民並びに市民の運動・スポーツの振興や健康増進及び、中南和地域の活性化に寄与する新たなスポーツ拠点施設の整備に関することなどです。 現在、県では、県立の橿原公苑と橿原市立の橿原運動公園における施設整備について、検討が進められています。この新たな覚書を基に、本県で2回目の開催となる国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会を、ぜひ成功していただきたいと願っています。 県土の均衡ある発展、また、南部・東部地域の振興と活性化に向けて、私も県議会議員の一員、そして、南部振興議員連盟の一員として全力で取り組むとの決意のもと、橿原市で国民スポーツ大会等の開会式が行われることを願っていますが、本県での開催まで、ちょうどあと8年で、抜本的な施設整備を行うには、あまり時間的余裕もないと感じています。 そこで、知事に、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催までに取り組むべき内容などについて、3点お伺いします。 1点目に、開会式を開催するために、どのような施設を検討されているのでしょうか。 2点目は、現在、橿原市と協議を進めている県立橿原公苑橿原市立運動公園の一体的なスポーツ拠点施設整備に関する知事の考えをお聞かせください。 最後、3点目は、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会等の開催に向けた各競技種目の施設整備の現在の進捗状況について、お伺いします。 次に、地域デジタル化の推進について、知事にお伺いします。 県は、昨年3月に奈良デジタル戦略を策定し、県民目線での利便性の向上や、困り事を解決するサービスの開発に取り組んでおられます。新年度においても、医療、介護の情報連携や、道路や河川の管理をはじめ、デジタルを活用した多くの事業を推進される予定です。デジタル化の推進によってどれだけ課題が解決できるのか、期待が大きいところです。幾つか例を挙げさせていただきます。 本県の南部・東部地域は人口減少率が高く、地域維持のための数々の要望を受けていると思います。デジタル政策の推進への期待も大きいと感じますが、移住や定住の条件として欠かせないものに、医療と教育が挙げられます。現在、吉野郡には大淀町と下市町、川上村にしか図書館がなく、それも大きい施設とは言えません。学校の図書室では、司書が常駐していないところも多く、PTAの方が司書の増員を求めても、県は市町村業務であるということで見守っていた部分もあったかと思います。 そのような中、コロナ禍で電子図書館の活用が話題になっていましたが、県内においても比較的規模が大きい北部の自治体では取り入れられています。しかし、例えば奈良市の電子図書の貸出しは、奈良市民や奈良市に通う方のためのサービスであり、南部・東部地域に住む方が使えるようにはなっていないと思います。 デジタルの特性の1つに、距離をなくすということがありますが、電子図書の貸出しというサービスが北部中心で、南のほうでは五條市までにとどまっており、山間部での活用に至っていないことは、もったいないという気がしてなりません。 なお、奈良県立図書情報館デジタルアーカイブは、非常によい取組ですが、かなり専門的な学術資料です。今後は、県政情報センターの資料をデジタル化して、広く県民に提供するといったことも望ましいと考えます。また、デジタル公文書館の設置も見据え、児童の学習をはじめ、シニアのための生涯学習の利便性も高めていくべきだと思います。 医療に関しては、現地の看護師らが遠方の医師の声を聞きながら運用する、遠隔医療のよい試みが生まれてきています。介護においても同様です。本県は、南部・東部地域など、主に山間部においては、これまで重傷者に対する緊急搬送をドクターヘリによって担保してきています。こちらはこちらで非常に大きな安心を与える存在になっていますが、身近で気軽な医療というわけではありませんので、住民の心配は依然として存在するようにも感じています。 前回の6月定例会での私の一般質問でも取り上げましたが、世界遺産になった修験の道は観光客の来訪も期待できますが、今までトイレや電波の整備は見過ごされており、やや不便さや不安を感じます。交流人口、観光客といったビジターを意識したときにも、携帯電話がつながりにくいというのは、本県にとって弱点だと思います。来訪者の拡大につなげるためにも、やはり今後、デジタル基盤の強化は欠かせないと思います。 また、道路管理デジタル化推進事業として、データベースシステムで一元管理を進めていますが、県と国や市町村との連携や共有については、いかがでしょうか。 県下の複数の市町村では、現在、道路の穴ぼこなどの損傷に気づいたら、気づいた人が携帯電話で写真を撮り、それを市町村へ送信すると、すぐに市役所で確認ができるという、道路異常時の通報システムを利用しています。このようなシステムは、現在、橿原市をはじめ、奈良市や生駒市にもあるようですが、県や国は未対応かと思います。 橿原市のこのシステムは、市道だけではなく、県道であっても国道であっても通報できます。受け取った市役所が県や国に転送すれば、即座に共有が可能です。システム上で39市町村及び県、国などのチェックボックスをつくり、それぞれの機関のメールアドレスをひもづけするなどし、自動で通報を回覧させるようなことは、それほど難しくはないと思います。それぞれが別々につくるより、まとめて大きなエリアで1つつくると、県民の認知度も高まり、より効率的ではないでしょうか。そのような奈良県版のシステムをつくり、国や市町村と共有すれば、39市町村プラス県及び国の41個のシステムをつくる必要がなくなり、40個分の費用が浮くことにもつながると考えます。 別の観点から申し上げますと、阪神・淡路大震災や東日本大震災の際にも、携帯電話がつながりにくいということで、Wi-Fiを利用したSNS等による情報共有が重視されていたように思います。距離のハンデをなくすだけでなく、災害などの非常時には、真夜中でも情報の相互通信ができ、不特定多数の人に情報を投げかければ、誰かが返事をしてくれます。 さらには、ニュースを音読してくれる、音声をボリュームアップしてくれる、また、話しかけるだけで電話をしたり、文字化したりしてくれる。そのように、携帯電話の進歩が、高齢者や障害をお持ちの方のハンディキャップをカバーするものとして機能している現在において、デジタル化が公務を増やすものではなく、減らすものであるという考えに立ち、県民の利便性を担保することが必要ではないかと考えます。貴重な市町村比較のデータを、奈良県・市町村長サミットとも連動して積極的に公開してこられた本県において、決して不可能ではないと思います。 そこで、知事にお伺いします。 県民の生活のさらなる利便性の向上を図るため、県は今後、地域のデジタル化をどのように進めていくのでしょうか。 次に、(仮称)奈良県立工科大学の新設について、知事にお伺いします。 現在、県では産業競争力の強化を目的として、(仮称)奈良県立工科大学の設置に向けた準備を進めておられると聞いています。 先日、新聞に、公私立大3割、理工系拡充、との見出しで、文部科学省の調査結果として、理系学部の拡充を促す国の支援基金を活用した学部再編が急速に進む可能性があることが指摘されていました。その中で、最も検討が進んでいる学術分野は、工学が39%、情報・データサイエンスなどのデジタル分野が24%であり、公私立大が理工系学部を強化する背景には、デジタルや脱炭素といった成長分野における人材育成の遅れがあり、こうしたことが、民間企業がデジタル化等を進める上で人材の不足を招き、足かせになっているとのことでした。 こうした課題は、県内の民間企業においても同じことが言えると思います。そのため、私は県がみずから、奈良県立大学において理工系の高度な人材の育成に取り組んでいただく方向性については、大いに賛同いたします。 ただし、工科大学の設置を進める上で、少し疑問が残る点もございます。 当初は、新しい大学を設置するのではなく、奈良県立大学に新たな工学系学部が設置される方針であると伺っておりました。奈良県立大学は文系のみの小規模な大学ですが、優秀な学生が集まり、そのレベルは年々高まっていると聞いております。それでも、少子化等により、今後は他の多くの地方大学と同様に、学生の確保に苦労することも想像されます。私としては、奈良県立大学に新たに理工系の学部が併設されれば、これまで以上に大学としての特色、強みを打ち出すことができ、より魅力的な大学に生まれ変わるものと、大いに期待しておりました。昨年、新たに開学した奈良県立大学附属高等学校の生徒にとっても、理系への進学の選択肢が増えることは、大変喜ばしいことだと思います。 一方、県外の大学に目を向けますと、大阪府立大学と大阪市立大学が統合して、大阪公立大学が誕生いたしました。また、東京工業大学と東京医科歯科大学も統合を検討しており、複数の学問領域を融合し、多様な社会課題を解決できる高度な人材育成の場となることを目指しているとのことです。時代は再編、統合により多様化する学生のニーズや、社会からの要請に応えていくことで、競争力を高めていく方向にあるのではとも感じています。 このように、奈良県立大学をよりよい大学へと発展させていく方向性や、異分野の大学が合併して、より幅広い人材育成の環境を整えている先行事例から考えると、私は、工科大学の新設ではなく、奈良県立大学工学系学部を設置する方針で進めていただくほうが、理にかなっているのではないかと考えています。 そこで、知事にお伺いします。 (仮称)奈良県立工科大学は、新たな大学として設置される方針を示されていますが、どのような狙いを持って新設されようとしているのか、知事の考えをお聞かせください。 次に、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群世界遺産登録について、知事にお伺いします。 令和5年になり、佐渡島の金山のユネスコへの推薦書類の提出や、臨時の世界遺産委員会において、ウクライナ南部オデッサの歴史地区が世界遺産に登録されたこと、また、延期されていた第45回世界遺産委員会が、本年9月にサウジアラビアのリヤドで開催されることが決定したことなど、世界遺産に関する報道が多くなされています。 ご承知のとおり、奈良県は現在3つの世界遺産を有していて、4つ目の世界遺産として、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の登録を目指しています。私の地元のこの飛鳥・藤原は、橿原市、明日香村、桜井市にある宮殿跡・仏教寺院跡・墳墓の20の資産で構成されています。これらは、6世紀末から平城京遷都までの約100年間に、中央集権体制を採用した国づくりが行われたことを示す貴重な資産です。また、遣隋使や遣唐使、渡来人などの往来を通して、東アジアの最新文化を取り入れた、中国・朝鮮半島との交流と文化伝播の拠点でもあります。 飛鳥・藤原は、このようにすばらしい資産群でありますが、残念ながら、県内外ともに、その認知度はまだ十分ではないと考えています。私も微力ながら、SNSを活用し、動画などでその魅力発信に努めています。 2007年にユネスコの世界遺産暫定一覧表に記載されて以来、県と資産がある3市村で、世界遺産「飛鳥・藤原」登録推進協議会を設置し、世界遺産登録の準備を進めてこられました。現在、令和7年度の世界遺産登録に向け、推薦書素案などの準備を進められていると聞いていますが、中南和地域の活性化のためにも、ぜひとも頑張っていただきたいと考えています。 そこで、知事にお伺いします。 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の2年後の世界遺産登録に向けた現在の進捗状況と、今後の取組についてお聞かせください。 次に、地域おこし協力隊について、知事にお伺いします。 地域おこし協力隊とは、人口減少や高齢化等の進行が著しい地方において、地域外の人材を積極的に受け入れて、地域協力活動を行ってもらい、その定住・定着を図ることで、地域社会貢献に意欲のある都市住民のニーズに応えながら、地域力の維持・強化を図っていくことを目的とした制度です。 隊員は、一定期間地域に移住し、地域ブランドや地場産業の開発・販売・PR等の地域おこし支援や、農林水産業への従事、住民の生活支援など、地域協力活動を行います。隊員は、各自治体の委嘱を受け、任期はおおむね1年以上3年未満です。 全国的には、令和3年度で約6千名の隊員が活動していますが、国はこの隊員数を、令和8年度までに1万人に増やすという目標を掲げており、この目標に向け、隊員・受入自治体双方に対するサポートの充実を図ることとしています。 具体的な活動内容や条件、待遇は、募集自治体により様々ですが、総務省では、地域おこし協力隊員の活動に要する経費として、隊員1人当たり480万円を上限として、財政措置を行っています。任期中は、自治体、サポートデスク等による日々の相談、隊員向けの各種研修等、様々なサポートを受けることができます。任期後は、起業希望者向けの財政措置もあります。 14年前の2009年に当制度が開始され、本県では2012年に協力隊の受入れを開始しました。2014年には48名、多い年には126名の受入れがあり、県内各地域で地域力の維持・強化に向けた取組を行っています。 例を挙げますと、野迫川村では、村の唯一の補給路となるガソリンスタンドが、店主の高齢化により維持していくことが難しいと、大きな課題になっていました。そのスタンドを守る人材として、現在、地域おこし協力隊が協力しているそうです。何とか廃業という目の前の課題を先送りすることができました。 しかし、不安もあります。過去にも協力隊は来てくれたが、定住につながらず帰ってしまい、また次の協力隊がというように、地域への定着率が低い状態が続いているそうです。同様の課題は、他の地域からも聞き及んでいます。また、現在の協力隊も定住につながるのかという心配もあり、この不安の解消は、地域の力だけでは難しく感じます。 本県で活動する地域おこし協力隊は、この十数年の間に、定住化をはじめ過疎地域においての不安を安心へと変える効果を上げています。先ほど例に挙げたように、過疎地域の不安は切れることなく続きますが、その不安を和らげる存在として、地域おこし協力隊は、もっと期待を持てる存在だと思います。その一方で、本県における定住率は全国に比べ低く、定住率を上げる取組は必須です。 そこで、知事にお伺いします。 過疎地域の不安を少しでも解消していくためには、地域おこし協力隊員に、任期の終了後も定住・定着していただくことが重要と考えますが、隊員の定住化に向け、県はどのように取り組んでいこうと考えているのでしょうか。 次に、県庁における働きやすい職場環境づくりについて、知事にお伺いします。 これまで知事は、奈良県をもっとよくするため、奈良県コンベンションセンターや、なら歴史芸術文化村などの様々なプロジェクトを進められ、県が掲げる目標を達成してこられました。 ただ、一方で、数値が悪化している心配な点もございます。 1点目に、奈良県職員の長期病休者についてです。特に、メンタルヘルス不調による1か月以上の休暇取得者割合全国トップクラスだということであり、また、2019年以降、毎年100人を超えている状況です。中央安全衛生委員会で休暇者の人数が毎年報告されているようですが、安全衛生委員会で、改善に向けての議論がなされてきたのでしょうか。 2点目に、職員のストレスについてです。労働安全衛生法第66条の10に、ストレスチェック制度の実施が加えられ、平成27年から検査制度として導入されました。この制度は、職員のストレス状況を各職場ごとに判定し、職場改善につなげていくことを目的としています。平均を100とし、100を超えるほど健康リスクが高くなります。 奈良県では高ストレス者の割合が高いことから、県庁は高ストレス職場であり、常に長期病休者の予備軍を増やしているのではないでしょうか。その上、県庁の各職場では、長期病休者が出ても補充職員の配置もなく、全体の業務量が変わるわけではなく、残された周りの人に負担がかかってしまうという悪循環に陥ってしまい、新たな病休者や若年層の退職につながっていると考えられます。健康リスクを減らすことで、メンタルヘルス不調だけでなく、長期病休者を減らすことができると考えます。 そこで、知事にお伺いします。 メンタルヘルス不調により、多くの職員が長期病休している状況にありますが、県はこれまでどのように対策を講じ、また、今後どのように取り組もうとしているのか、お聞かせください。 次に、橿原市域の鉄道や駅を軸としたまちづくりについて、知事にお伺いします。 県立医科大学の移転先において、本年度から新キャンパスの建築工事が始まりました。令和6年度の先行整備の竣工を目指して、現在進められています。 さて、その県立医科大学の整備と並行し、医大前の新駅設置に向けた協議が、荒井知事の強いリーダーシップのもと、ようやく具体的に動き始めました。私は昨年6月の質問の際に、奈良県民、橿原市民、近畿日本鉄道株式会社、それぞれにとり三方よしに限りなく近い結論が、県立医科大学の整備に遅れず得られることが求められている、改めてそう申し上げましたが、11月29日に、荒井知事、県立医科大学の理事長、橿原市長、近畿日本鉄道株式会社代表取締役社長の4者によって、連携協定が締結されました。その協定では、4つの取組事項が明記されていますが、そのひとつに、新駅の設置に関することがあります。 八木西口駅の廃止を条件とせず、令和5年度中の費用負担を含む基本事項の合意を目指し、協議、と示されています。約5年間、膠着状態が続いていましたが、鉄道事業者のご理解を受け、ようやく新駅設置が現実のものとなりました。 近畿日本鉄道株式会社は、この4月から平均17%の運賃値上げを行います。値上げに至る主な理由は、沿線の少子高齢化等により乗客が減少する中、新型コロナウイルス感染症の影響により、乗客がさらに大きく減少し、経営努力でこれらの収入減少を補うことが困難ということ。一方、安全性、利便性の確保のため、車両・設備の更新、バリアフリー整備、防災対策等を継続に行う必要があるということが挙げられています。 そのような厳しい背景がある中、新駅設置にご理解いただいた近畿日本鉄道株式会社に対しても、八木西口駅を残し、新駅設置に協力してよかったと、そう思っていただける新駅を中心としたまちづくりが実現することを期待しています。 そこで、知事にお伺いします。 奈良県立医科大学前に設置される新駅は、現在はどのような状況で、新年度以降はどのように進められていくのでしょうか。また、新駅周辺のまちづくりについても、併せてお聞かせください。 続いて、もう1点、橿原市域の鉄道や駅を軸としたまちづくりについて、橿原市を東西に走るJR畝傍駅並びに線路について質問します。 橿原市には近鉄線とクロスし、JR線も運行されています。東は桜井市から西の大和高田市につながっています。橿原市内には香久山、畝傍、金橋と3つの駅があります。JR畝傍駅は、現在駅舎の活用についての課題が残されていますが、この駅舎から西へ進むと、近鉄線とクロスしています。 このJR畝傍駅舎や接続する線路について、まちづくりの観点から、今後どのようにあることがより望ましいとお考えでしょうか、知事の所見をお伺いします。 次に、教育長にお伺いします。 今年も受験シーズンとなりました。本県の県立高校の受験傾向は、北部の普通科は受験者数がオーバーする高等学校がありますが、南部は割れている高等学校が多いです。今年はいかがでしょうか。 いずれにしましても、本県の受験制度によって、学力優秀な生徒の県外流出に拍車がかかることがないよう、あるいは、再編された高等学校をはじめ、定員割れしている南部地域の高等学校への入学者の増加を図ることについては、大きな課題だと認識しています。 それらを含む課題を解決するにあたり、県教育委員会では奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会を発足し、検討を重ねてこられました。 昨年11月には、当該検討委員会での論点や、そこで出された意見等を整理した、「奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会における意見に関する中間まとめ」が公表され、意見募集が行われました。調査書の取扱いや、選抜機会の一本化など、8名から21件の意見が寄せられ、さらに意見交換を行い、先月1月31日に、意見に関する取りまとめを作成されたところと聞き及んでいます。 今後、教育委員会会議において、この取りまとめを参考に、入学者選抜の改善等について検討を進め、令和8年度からの実施を想定した、新しい入学者選抜制度の内容や導入プロセスを立案するとされており、現在、選抜日程の一本化や、調査書の取扱いの変更の案について、パブリックコメント手続が実施されているとのことです。入試の改善によって、様々な課題が解決されることを期待しています。 また、課題の1つとなっている南部地域の高等学校の入学者を増加させる1つの手段として、私は、現在設置されている学生寮をもっと活用するべきだと考えます。 例を挙げますと、この春、寮生であった十津川高等学校を卒業する1人の生徒が、天理大学へ進学します。この生徒は、3年前に受験するときにはサポートが必要なか弱い状態でした。合格はしましたが、その後、親元を離れ、勉強についていけるか、寮できちんと生活ができるか、様々な不安がありましたが、高校生活の3年間で、よき指導者や仲間、自然豊かな環境に恵まれ、大きく成長し、この春卒業し、進学します。 親元を離れ、寮生活を経験したことで、成長につながるよい例だと思います。 十津川高等学校に限って申し上げると、十津川村の資産、剣道を強化することが、高等学校の特色や魅力アップにつながると強く感じていますが、今日的な課題である不登校をはじめ、家庭環境や発達に課題のある生徒も学生寮で受け入れられる体制づくりを、力強く進めてはいかがでしょうか。 それは、橿原市にある学生寮においても同様です。橿原市にある寮は、現在は、下北山村や東吉野村や十津川村など、山間地に住んでいる通学が不便な生徒のための存在ですが、今日的な課題である不登校をはじめ、家庭環境や発達に課題のある生徒も、寮で受け入れられる体制づくりを進めてはどうでしょうか。学生寮を活用することで、例えば県北部の生駒市に住む生徒が、県中南部の宇陀高等学校や奈良南高等学校などで学びたいという、県内の高等学校へ進学する選択肢も増えると思います。 そこで、教育長にお伺いします。 本県の県立高等学校には様々な課題があると考えますが、北部の、いわゆる進学校で不合格だった生徒の県外への流出や、南部の高等学校の生徒数減については、今後どのように改善していこうとされているのでしょうか。 また、生徒の進学先の選択肢を広げるためには、現在設置されている学生寮を活用することが効果的と考えますが、どのように取り組んでいくのか、考えをお聞かせください。 次に、特殊詐欺対策について、警察本部長にお伺いします。 「電話口 お金の話 それは詐欺」、このキャッチコピーを特にご高齢の方々に覚えていただいて、数年がたちます。 一方、いまだ役所職員を名のり、介護保険料の払戻金があります、書類を送ったが見ましたかなどの不審電話があります。このような不審電話は、現在も県内のあちこちでかかっており、いつ高齢者をはじめ、県民の方々が被害に遭うかもしれません。 私は、身近なお年寄りにもこの特殊詐欺被害防止について、十二分に気をつけるよう繰り返し伝えていますが、年末にその1人の橿原市在住のお年寄りから、被害に遭いかけた話を聞きました。 自宅への固定電話から、それは始まったそうです。 最初は、容疑者から、車椅子に乗っていますかと電話があり、二、三日後、再び容疑者から、70歳以上で老人ホームに入居できるが、くじ引で申し込んでいますかと、続いて電話がありました。おばあさんは、申し込んでいません、申し込んでいないし、入る気もありません、と答えると、容疑者は、なら、よそへ回してもよいですねと、一旦電話を切りました。その数日後、代わりに老人ホームに入れた方が喜んでおり、お礼に伺いたいと、再び連絡がありました。自宅を知られることに恐怖を覚え、怖くなり、警察に電話相談されました。そこで電話線を抜き、容疑者からの連絡を断ち、被害は逃れました。 私は、県議会のテレビ中継を通じ、県民の皆様が犯罪被害に遭わないよう、特に高齢者の方が悪質な犯罪に巻き込まれないよう、意識を高めていただければと願い、これまでも代表質問や一般質問で、高齢者への特殊詐欺被害防止対策について、重ねて質問してきました。 昨年1年間の暫定値も発表されましたが、昨年と比べ、認知件数は101件から206件へと105件も増加しており、被害総額は約4億3,000万円余と、昨年と比べると増加しています。その206件のうち、87件の特殊詐欺の手口が、いわゆるキャッシュカード型と呼ばれるものです。本当に十二分に注意をし続けていただきたいと思います。 加えて、詐欺グループからの連絡手段は、自宅の固定電話が一番多いとのことです。しかし、いまだ高齢者に特殊詐欺の手口が知れ渡っていないのか、あるいは、自分は大丈夫という思いから、被害に遭われた方はそれが詐欺だと気づかずに、虎の子の預貯金をだまし取られています。 特殊詐欺はある日突然、犯人グループから電話があり、人を信じて疑わないという高齢者の良心を逆手に取り、長く倹約してためてこられた資産を一瞬でだまし取るものです。人生の最後に特殊詐欺に遭い、つらい生活を送る被害に遭われたかと思うと、心が痛み、断じて許せません。 犯人グループは、その手を緩めることなく、社会情勢に応じて、手口を日に日に、また巧妙に変化させ、引き続き高齢者の資産を狙っています。 そこで、警察本部長にお伺いします。 県内における特殊詐欺の発生状況及びその特徴は、どのようなものでしょうか。また、高齢者をはじめ、県民が特殊詐欺被害に遭わないよう、警察本部はどのように取り組んでいるのか、お聞かせください。 最後に、奈良県運転免許センターの整備について、警察本部長にお伺いします。 本県の運転免許取得人数は、現在約88万人であり、私たち奈良県民の運転免許証の更新は、橿原警察署を除く県内の警察署でも行われていますが、昨年の免許証の更新は、本県全体で約20万人おられます。そのうち15万余の方が、橿原市にある運転免許センターで行っています。1日平均500名以上の方が訪れており、本県の公共施設の中でも、県民の方々の出入りが多い施設にあたります。この場におられる方も、更新の際、運転免許センターへ出向いている方も多いことと思います。 本県も高齢化が進み、それに伴い、高齢運転者も増加しています。ちなみに、本県の65歳以上の高齢運転者人数は約23万人、約26%であり、4人に1人が高齢運転者であります。 高齢者講習は、昨年1年間で、県下全体では約4万4,000人の方が受けられています。そのうちの約1万3,000人が、運転免許センターで受講されています。しかし、高齢者をはじめ、障害者に配慮した施設とは言い難い状況です。また、ここ3年間は新型コロナウイルス感染症対策が行われましたが、寒風酷暑もある中、その対策に適した施設にはなっておりませんでした。 その一番の原因は、施設の老朽化によるものです。耐震性は有するものの、多くの方が利用される施設としては、安全面や利便性からもほぼ限界に達するまで利活用され、現在に至るという状況です。警察本部におきましても、その状況をご認識され、建て替えに向けた検討を行うべく、今年度には、奈良県運転免許センターとして必要な規模や設備、同時に、どのような機能を盛り込むか等をまとめた基本構想の策定に取り組まれたと聞いています。 具体的には、運転免許センターとその関連施設等に関し、高齢者や障害者に配慮したバリアフリー施設を含むユニバーサルデザインの理念、感染症対策、円滑な人流対策など、次世代に向けて新たなコンセプトを盛り込んで、県警察施設におけるファシリティマネジメントの視点も反映されるとのことで、利便性等が向上するものと、大いに期待しています。 そこで、警察本部長にお伺いします。 橿原市葛本町で長年使用され、老朽化の進む運転免許センターについて、今後どのように整備を進めていかれるのか、お聞かせください。 以上で、壇上からの私の質問を終わります。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)38番森山議員のご質問がございました。お答え申し上げます。 最初のご質問でございますが、国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催に向けての施設の整備についてでございます。 スポーツ施設の整備につきましては、令和13年の国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会の開催を見据えまして、整備内容の検討に着手しております。本県のスポーツ施設の現状、地域間のバランス、地域の振興など、様々な観点から検討を加えてきたところでございます。 ご質問の1点目は、総合開会式会場についてでございました。 国民体育大会施設基準におきまして、約3万人を収容できる施設と定められておりますので、多くの先催県では、第1種陸上競技場で実施されています。先催県を参考に、県が会場選定案を作成し、できるだけ早期に県の大会準備委員会へ諮り、決定していきたいと考えています。 2点目は、橿原市と協議を重ねている新たなスポーツ拠点施設の整備についてでございます。 県は、市立橿原運動公園の北側部分におきまして、第1種陸上競技場と、サブトラックとして第3種陸上競技場を新たに設置する考えを持っております。一方、県立橿原公苑は、周辺に橿原神宮や県立橿原考古学研究所などが共存している地域でございますことから、スポーツだけではなく、様々な文化イベントにも活用できる多機能複合型アリーナの整備が、この地にふさわしいのではないかと考えています。両施設が本県の新たなスポーツ拠点となり、また、県民の皆様の健康増進や、中南和地域の活性化にもつながるよう、整備していく考え方でございます。 3点目でございますが、大会開催に向けた各種競技種目の施設整備についてでございます。 先ほど申し上げました第1種陸上競技場や、多機能複合型アリーナに加えまして、大和平野中央田園都市構想の中で、健康増進のまちづくりの核となり、両大会の競技会場としても活用できるスポーツ施設の整備を検討しております。川西町ではテニスコート、田原本町では球技専用スタジアムなどの整備を考えています。 また、現在、各市町村においても開催を希望する競技種目と併せて、総合体育館などの既存施設の改修や施設の新設についてご検討いただいているところでございます。 スポーツ施設は、子どもから大人まで、障害のある人もない人も、健康志向の方からアスリートまで、様々な方々が利用される場所でございます。日常的に人が集い、にぎわい、憩いの場となり、身近にスポーツを親しめる場所となるよう、引き続き取組を進めてまいりたいと思っております。 2つ目のご質問でございますが、地域デジタル化の推進をどのように進めるのかというご質問でございます。 人口減少等が進む中、地域のインフラや住民の教育・福祉をもっとよくしていくためには、時間や場所を超えてつながることができるデジタルの力を活用することが必須であると考えています。 医療・教育では、人口減少などが進む中で、過疎地域等での医師の配置や、教育関連施設の大規模な整備が困難でありますので、デジタルを活用して遠隔地域を含めた必要なサービスをきめ細かに提供していくことが重要な課題でございます。 もう1点は、デジタル化により、森山議員お述べの道路等の公共インフラの維持管理をはじめとして、業務の共同化を進めることが可能となります。それにより、業務の効率化が図られ、必要な行政サービスが効率的に提供されるようになります。 例えば、道路異常等をインターネットにより通報するシステムについては、森山議員お述べのような課題も踏まえ、先進事例を調査し、市町村や国などと連携しながら、よりよい仕組みを導入していきたいと考えております。 さらに、そうした取組を進める際に、どの地域であってもデジタルの恩恵を等しく受けることができるよう、携帯電話基地局の整備促進や、高齢者へのスマートフォンの操作講習など、デジタル格差といわれるものを是正する取組も必要だと考えております。 このようなデジタルの力を活用して、様々な関係者がネットワークでつながりながら、一人ひとりに寄り添った包括的でパーソナライズ、個人の課題やお困り事に応じて最適化されたサービスを提供していくことを、新しい地域の発展モデルとして進めてまいりたいと思います。 今後、これを地域デジタル社会のビジョンとして、新たに定めますデジタル条例と奈良デジタル戦略に基づき、市町村としっかりと連携して、共同化などの具体的な取組を実行していきたいと考えております。 (仮称)奈良県立工科大学の新設についてのご意見、ご質問がございました。 (仮称)奈良県立工科大学につきましては、奈良県立大学や有識者等との意見交換も踏まえ、奈良県立大学とは別の新たな大学として設置することとし、令和8年度を目標に、大学院から先行設置する方向で検討を進めています。 新大学として設置することとした理由についてでございますが、奈良県立大学は、地域との交流による探求的な学習を特徴としており、産官学連携の中核を目指す研究大学でございます。(仮称)奈良県立工科大学とは、大学としての目標・役割や、求められる教員の働き方などが異なります。そのため、新大学に必要な組織運用の仕組みを奈良県立大学に適用することについては、課題が多く、双方の特色を損なう結果にもなりかねないという意見が多くございました。現場の人たちの声も、そのようなことであると伺っております。 奈良県におきましては、産業競争力の強化と、それに伴う魅力的な雇用の創出により、若者が活躍できる環境を整えることが重要かつ喫緊の課題でございます。そのため、新大学には、産業界のニーズに応じた優秀な理工系人材の育成や、共同研究を通じた企業の技術革新への支援に取り組むことを期待しております。 こうした役割を着実に果たすため、新大学では奈良県立大学を含め、従来の他の大学とは異なる特色ある組織運用の仕組みが必要であると考えております。例えば、教員の給与につきましては年俸制とする、また、競争的資金の獲得や企業連携などの成果に応じたインセンティブを加え、副業も認める、また、企業等との兼業も柔軟に認めることなども検討しております。これらのことも、既存の大学と同じ組織の中では難しいことだと言われております。 なお、学生に対して、多様な学問領域にまたがる教育機会を提供することや、奈良県立大学附属高等学校と(仮称)奈良県立工科大学との高大連携の枠組みを検討することなどにつきましては、大学間の連携により、十分に実現し得るものと考えております。 現在、(仮称)奈良県立工科大学については、学長候補の小寺秀俊先生を中心に、県内外の国立・公立大学とも意見交換しながら、特色あるカリキュラムや教員組織の在り方について、具体の議論を進めています。各大学や有識者からは、新しい大学だからこそ実現できるといった意見も多くいただいております。引き続き、県の将来の発展につながる大学の設置に向けて取り組んでまいりたいと思っておりますので、ご理解を賜りたいと思います。 世界遺産登録の推進について、飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群の2年後の世界遺産登録についてのご質問でございます。 飛鳥・藤原の宮都とその関連資産群につきましては、令和7年の世界遺産登録に向け、昨年6月に国内推薦獲得のための推薦書素案及び関係書類の提出を、文化庁に行ったところでございます。この推薦書素案の内容につきましては、文化庁の担当部局とも協議を重ねておりますが、飛鳥・藤原の本質的価値をより分かりやすく説明することや、例えば、寺院跡であれば、寺院が持つ価値を十分に示すための範囲をどう設定するかについて、助言・指摘をいただいております。今後、推薦書素案をブラッシュアップして、国の文化審議会で審議いただく予定でございます。 本質的価値の説明は、大事な概念でございますが、それにつきましては、現在、宮殿跡や仏教寺院跡、墳墓などの個々の構成資産を国際交流、律令、仏教、都城などの要素により関連づけ、ストーリーとして紡ぐための検討を深めています。 このことは、東アジアとの国際交流で到来した文化をうまく取り入れてきたという、日本独特の歴史的・文化的価値の本質を理解する上で、とても大切な作業になると考えております。 また、イコモスと呼ばれます国際記念物遺跡会議をはじめ、外国の方にも価値をご理解いただく必要がございますので、海外の専門家からもご意見をいただきながら、より分かりやすい説明ができるよう努力しているところでございます。 個々の資産範囲につきましては、飛鳥・藤原の本質的価値を示すに足る学術的な要素が十分含まれている必要がございます。これらにつきましては、例えば本薬師寺跡は、金堂と2棟の塔などの伽藍中枢部の遺構はおおむね保全されていますが、その他の遺構については、不明な部分も残されています。このような点に関しては、専門家の意見を聞きながら、現在考え得る資産範囲の設定が適切であるかどうか、改めて検証を行っております。 このような検証・作業を行いながら、国内外の方々に、この地の歴史文化資源としての本質的価値を十分理解いただけるよう、橿原市・桜井市・明日香村とともに、引き続き世界遺産登録に向けた努力を続けてまいりたいと思います。 地域おこし協力隊の隊員の定住化に向けた取組についてのご質問でございます。 地域おこし協力隊でございますが、過疎地域等の条件不利地域に移住した隊員が、住民と協働して地域を活性化させようという取組でございます。任期終了後も当該地域へ定住する思いのある方からの応募が望まれております。 市町村等が、地域が求める人物像や活動分野を提案し、それに対し、課題解決に向けて地域で実現したいことをみずから考えて応募される隊員の方々は、地域に新しい風を吹き込み、柔軟な提案も期待できることなど、地域活性化につながる有為な人材と考えられています。 この取組に係る経費につきましては、国の財政措置があり、全国で数多くの隊員が活動されています。 本県におきましても、今年度は18市町村が109名の隊員を受け入れておられます。また、昨年3月までに任期を終了した隊員は累計161名となっております。そのうち、活動地と同一市町村、または近隣市町村へ定住された方は101名でございます。定住率は62.7%となりますが、全国平均をやや下回っているものの、地域での就業、起業が進んでおります。 また、近年では、定住率を高めるため、隊員の募集にあたり、地域で実現したい事業のビジョンの提示を求めるなど、募集の仕方に工夫を凝らされる県内の市町村も増えてきております。 人口減少・少子高齢化が著しく、多くの課題を抱える地域にとって、隊員の任期終了後の定住・定着はとても大切なことでございます。 県では、地域での隊員の受入・サポート体制の構築が重要であるとの考え方から、市町村の担当者を対象とした勉強会を、昨年12月に開催いたしました。 来年度は、市町村と連携して、県内で活動する隊員を対象に、勉強会や交流会などを開催し、隊員同士が喜びや悩み、経験を共有する機会をつくりたいと考えております。 こうした取組により、本制度を活用して、地域活性化に意欲のある人材の確保・育成を目指しておられる市町村を、今後も引き続きしっかりと支援していきたいと思います。 県庁における働き方、職場環境づくりについてのご質問がございました。 本県では、これまでも県庁版働き方改革として、超過勤務の縮減やメンタルヘルス対策に力を入れてまいりました。しかし、森山議員お述べのとおり、メンタルヘルス不調により、多くの職員が長期病休している状況があるなど、課題がすべて解消されているわけではございません。 こうした状況を踏まえまして、昨年の夏以降、良い職場づくりの検討を行う中、職員のメンタルヘルスの状況につきましても、改めて総点検を行いました。その上で、国内の第一級の有識者にお集まりいただきながら、対応を検討し、今般、条例として取りまとめたところでございます。 この条例では、まず、健康を基本的な価値とすることを組織の基本理念として明確化し、次に、公共性の高い職場でも職員の健康を損なってはならないことを基本方針といたしました。その上で、勤務時間管理や健康管理のための制度の拡充などを基本的施策として定めたところでございます。 対応といたしましては、不調の予防から復帰支援までの全体を通した実効的な対策や、メンタルヘルス対策と組織・人事政策との連動などがポイントとなっております。 具体的な内容でございますが、客観的で厳正な勤務時間管理などの管理の見直しをすること、業務の水準・構造・手順などの見直しをすること、明るく、柔軟で、交わりと創造性を高めるオフィス環境をつくること、部下の健康管理状況を人事評価へ反映すること、不調に陥った場合の職場復帰プログラムを創設することなどの措置を講じてまいりたいと考えております。 この中で、例えば職場復帰プログラムでは、臨床心理士などによる個別支援を重視したプログラムにより、職員の状況に応じたきめ細やかな支援を行いたいと思っております。 このように、これまで以上に深度のある、深みのある措置を講ずることで、実効性を確保してまいりたいと思います。これら具体的施策につきましては、条例に基づく基本計画に盛り込んでおります。 これらの施策は、これまでの業務や組織の在り方を見直し、失敗を恐れない、働くことを楽しむ、無理をしないといった方向に職場文化を変えていく取組でございます。健康を基本的価値とした良い職場づくりの実現を通じて、県民生活の向上と地域の持続的な発展を図ってまいりたいと考えます。 橿原市の地域の鉄道や駅を軸としたまちづくりについての質問がございました。 まず、県立医科大学前に設置される新駅の状況についてでございます。 森山議員お述べのように、新駅の設置を含む医大周辺のまちづくりにつきましては、昨年11月29日に奈良県、県立医科大学、橿原市、近畿日本鉄道株式会社の4者で協定を締結し、連携・協力を推進しているところでございます。 このうち、新駅につきましては、平成28年度、平成29年度に県が行った基礎調査を基に、現在、設置位置や構造等について、近畿日本鉄道株式会社に検証していただいているところです。また、この協定により、八木西口駅が廃止されることなく、併存が可能になりましたので、来年度は、県が改めて新駅利用者の需要予測や駅構内の規模の検討などを行い、関係者と協議し、整備基本計画として取りまとめることとしております。 あわせて、新駅に係る概算事業費を算出の上、費用負担などの基本事項について、令和5年度中に近畿日本鉄道株式会社と合意することを目指しております。 また、駅周辺のまちづくりにつきましては、連携協定締結後の昨年12月から、まちづくり検討会を開始いたしました。これまで、計3回開催したところでございます。 この検討会では、まちづくりのテーマを、「新駅設置による賑わいと医大隣接の利点を活かした健康増進のまち」ということにしておりますが、県、県立医科大学、橿原市、近畿日本鉄道株式会社に加えまして、民間企業や有識者の方々にも意見をいただきながら議論をし、検討を進めているところでございます。引き続き検討を深め、来年度中にまちづくり計画として取りまとめる予定でございます。 今後も関係者との協議を着実に進め、国民スポーツ大会及び全国障害者スポーツ大会が開催されます令和13年を目標に、新駅の供用及びまちびらきを実現したいと考えております。 橿原市域の問題で、JR畝傍駅舎とその接続する線路についてのご質問がございました。 橿原市は、古くから交通の要衝として発展してきました。鉄道につきましても、JRと近鉄線を合わせて13もの駅が設置されております。利便性の高い地域でございます。 お尋ねのJR畝傍駅は、明治26年に開業した古い駅でございます。現在の駅舎は、昭和15年の橿原神宮紀元2600年祭式典に合わせて造られたものでございます。老朽化に伴い、現在、JR西日本が建替等を検討されていますが、貴賓室も備わるなど、歴史的・文化的価値のある建物でございますので、平成29年にJR西日本から橿原市に対しまして、現在の駅舎を無償譲渡する提案がございました。 その後、橿原市で観光拠点等として、民間活力導入のもと利用できないか検討されてきましたが、コスト面の課題から事業者の応募が見込めないなど、令和3年12月に無償譲渡の受入れを断念する方針を示されました。 今後、橿原市では、駅のリニューアルにあたり、古い町並みや景観に配慮するよう、JR西日本と協議していくと聞いております。県といたしましても、まちづくり連携協定に基づき、橿原市を支援してまいりたいと考えております。 このJR畝傍駅につきましては、まちづくりの観点から、私の所見を申し上げますと、森山議員もお述べのとおり、駅の西側約300メートルの地点で、JR桜井線と近鉄橿原線が交差しており、近くに近鉄の八木西口駅がございます。この場所に駅舎を移転できれば、JR線と近鉄線との乗換えが便利になり、鉄道ネットワークのさらなる充実につながると思っております。また、伝統ある今井町に近いことでもございますので、新しい駅名は畝傍今井町駅、などになる可能性もあると思っております。 また、橿原市内は、JR線と近鉄線が縦横に走っているため、線路によりまちが分断されている箇所も多く見受けられると思います。JR畝傍駅周辺も南北に行き来がしにくく、鉄道を高架にした場合には、道路交通が円滑にすることができますので、道路交通の課題解決の方策も検討してみるべきだと思っております。 まちづくりにおきましては、鉄道や駅等の交通インフラは、非常に大きな要素でございます。JR畝傍駅につきましても、駅舎の保存・利活用に加えまして、周辺の交通環境について、将来を見据えた検討を行うことが重要だと考えております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 吉田教育長。 ◎教育長(吉田育弘) (登壇)38番森山議員のご質問にお答えいたします。 私には、高等学校入試での県外流出や、南部の高等学校の生徒減に対する改善の取組を、寮の活用も併せてお尋ねでございます。 県立高等学校の一般選抜における不合格者は、10年前の約850名から減少傾向で、本年度は約450名と半減しており、その多くは県内、県外私学を併願で合格し、進学いたしております。一方、本県の公立中学校卒業者の県外進学者でございますけれども、10年前から約1,400名で変化しておらず、不合格者数との差の多くは、県外私学への専願者数と考えられ、10年で550名から950名と増加傾向にあることは、改善すべき課題であると認識いたしております。 昨年度設置した奈良県立高等学校入学者選抜検討委員会から、県外私学への専願者数を減らすには、入試改革とともに、高校の特色づくりを一層推進し、県内高校への魅力を子どもや保護者に伝える努力をすべきとの意見をいただいており、このことも、高校の特色づくり推進課を設けた理由の1つとなっております。 県教育委員会では、同検討委員会で出された意見を踏まえ、現在、入学者選抜の改善について検討を進めております。2月に実施する特色選抜から、3月に実施する一般選抜までの期間が高校教育に与える影響も考え、選抜の機会を一本化し、第2希望校の申告制度を設けるなど、県立高校で学びたい生徒をできる限り多く受け入れるための入試制度に改善したいと考えております。 次に、南部の高等学校の生徒数減少への対応でございますけれども、奈良南高等学校には二級建築士の資格取得を目指す専攻科を、十津川高等学校には中高連携の新たな仕組みを、また、両校に総合学科を設け、多様な学びによる進路希望の実現を可能といたしております。加えて、県教育委員会では、本県で開催する国民スポーツ大会全国障害者スポーツ大会に備え、スポーツ特別強化校の指定を現在検討いたしております。奈良南高等学校の女子バレーボール部や十津川高等学校のボート部や剣道部は、対象になると考えております。 なお、森山議員がお述べのとおり、十津川高等学校の寮には、様々な理由で新たな生活を求めて生徒が入寮し、地域や教員の支援のもと、豊かな高校生活を送っております。全国募集とともに、学校や寮の魅力を全国にSNSで発信しており、これに加えまして、転入学を希望する生徒をSNSで発信して柔軟に受け入れるなど、生徒数の確保に努めてまいります。 また、総合寄宿舎について、現在は山間地域に住所を有する等、通学に困難な事情のあることを入寮資格といたしておりますけれども、北部の生徒に対する入寮資格の緩和について、検討を進めているところでございます。 以上でございます。どうもありがとうございました。 ○副議長(西川均) 安枝警察本部長。 ◎警察本部長(安枝亮) (登壇)38番森山議員から私には、特殊詐欺対策についてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 県内における特殊詐欺の発生状況については、森山議員お述べのとおり、令和4年中の認知件数は206件、被害総額は約4億3,850万円であり、認知件数は前年と比較して105件の増加、1件当たりの被害金額は約210万円であるなど、依然として厳しい状況にあるものと認識しております。 特徴については、一昨年から多発した還付金詐欺に代わりまして、役所職員や金融機関の行員等をかたってキャッシュカードをだまし取る手口が増加するなど、その手口は日々変遷をし、悪質・巧妙化している状況となっております。 また、昨年発生した特殊詐欺被害の約9割において、犯人側から被害者側への接触手段として固定電話が使用されている現状にございます。被害者の約9割が65歳以上の高齢者となっております。 そこで、県警察といたしましては、犯人からの電話を直接受けないための対策といたしまして、固定電話の留守番電話機能の活用を呼びかけるとともに、市町村と連携して、迷惑電話防止機能を有する防犯機能つき電話の普及促進に取り組んでおります。また、不審電話を把握した際には、ナポくんメール等によるタイムリーな情報発信により、注意を呼びかけております。 さらに、県内にある3つの信用金庫の協力をいただきまして、本年1月からはキャッシュカードの振込み制限の対象を、70歳以上から65歳以上に引き下げていただくなど、金融機関とも連携をした特殊詐欺被害防止対策も実施しているところです。 県警察といたしましては、引き続き関係機関や県民の皆様とともに、特殊詐欺の被害防止に全力で取り組んでまいります。 続いて、運転免許センターの整備についてのご質問をいただきました。お答え申し上げます。 運転免許センター及び関連施設の再整備に向けて、令和4年度中は運転免許に係る統計分析や全国の事例調査、現在の施設周辺の公共交通・インフラ状況の把握、敷地に関する法規制の整理等を進め、整備条件と課題の抽出を行いました。 今般、運転免許センター施設整備調査に要する予算を今議会に提案申し上げているところであり、この調査の中で、令和5年度中は、将来のデジタル化社会や、増加する高齢者の免許人口を見据え、更新時講習のオンライン化、運転免許証とマイナンバーカードの一体化をはじめとした行政のデジタル化の見通しと、これらが施設規模に与える影響、また、高齢運転者の増加に伴うユニバーサルデザインの導入や、高齢者講習実車指導専用コースの新設など、整備すべき施設・設備、の2点について、重点的に調査を行い、必要な庁舎や敷地の規模を決定した上で、現地または移転建替の別、官民連携導入、いわゆるPFI事業の是非等について検討してまいります。 今後のスケジュールについては、整備用地や手法等によって想定される行程が大きく異なってまいりますので、整備が完成する具体的な時期等についてお答えすることは困難でございますが、年間20万人を超える多数の県民が利用される施設でありますので、そのことを踏まえまして、できる限り早い整備に努めてまいります。 以上でございます。 ○副議長(西川均) 38番森山賀文議員。 ◆38番(森山賀文) 知事をはじめ、教育長、警察本部長、ご答弁ありがとうございました。時間があまりありませんので、再質問は行いませんが、少し思いを述べさせていただきたいと思います。 運転免許センターの整備については、そのようにたくさんの県民の方々が利用される施設もありますから、早く、できる限り早く整備を進めていただきたいというのが率直な思いですので、よろしくお願いいたします。 それと、先ほど特殊詐欺被害の件で橿原市内の方の具体例を挙げさせていただきました。実は今日の質問にあたって、そのおばあさんのお兄さんに当たる93歳の方が、傍聴に来られました。傍聴に来られた一番の理由というのは、直接身近な妹さんが被害に遭いかけたことで、ようやく現実的に対策を講じる必要を感じたということで、どういうことに気をつけるべきかということを知るために行きますということで、来られました。 今まで、被害は遠い世界の話というか、自分にはあまり関係ないだろう、これだけ啓発を重ねていても、少し人ごとのように思っていたことはありましたけれど、いよいよ身近にそういう被害が起きたということで、我が事として受け止め方が変わった、ということです。やはり啓発というのは、まだまだ継続して行っていくということが大切なのだということを、改めて痛感したところでございます。 奈良テレビをご覧いただいている方にも、ぜひ、本当に気をつけていただきたいと思います。日本一安全で安心な奈良県を目指すとうたわれておりますし、また、住みやすい、生きやすい奈良県の実現のためにも、新年度も引き続いて取り組んでいただきますように、期待を申し上げまして、私の質問を終わります。ありがとうございました。 ○副議長(西川均) しばらく休憩します。 △午後2時15分休憩    -------------------------------- △午後2時30分再開 ○議長(岩田国夫) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、26番山村幸穂議員に発言を許します。--26番山村幸穂議員。(拍手) ◆26番(山村幸穂) (登壇)皆さん、こんにちは。日本共産党の山村幸穂です。 初めに、私ごとですが、ご報告をさせていただきます。 この24日に、私の不注意で交通事故を起こし、相手の方を傷つけてしまいました。完全な私の過失で、被害者とそのご家族に、改めて心から謝罪いたします。関係の皆さんにご心配とご迷惑をおかけし、本当に申し訳ありませんでした。このようなときではありますが、私に託していただいた皆さんの思いを伝える責任もあるので、ご家族の了解も得まして、通告している質問に立たせていただきます。 さて、岸田政権は安保3文書を発表して、憲法違反の敵基地攻撃能力を持つために、超音速ミサイルなどの武器を買いそろえ、そのために、5年間で43兆円もつぎ込もうと言います。これまで、政府は、日本は専守防衛、敵基地攻撃は憲法違反だと言ってきました。国民にも国会にも諮らず、いきなり方針を180度変えて、憲法違反を閣議で決定することに怒りの声が広がっています。日本を守るために軍事力が必要だと言いますが、互いに武力で威嚇し合うことほど、愚かで危険なことはありません。紛争はまず話合いで解決し、外交努力を積み重ねることが政治の役割です。おびただしい命が奪われ、日本が焦土となった戦争の悲惨さから、二度と戦争だけはやってはならない、この決意が込められた憲法9条、大切な憲法を未来に生かす、子どもたちに平和をつなぐことこそ、今、私たちの使命です。何としても、このような戦争への道を止めたい。平和の党、日本共産党は全力で頑張る決意を申し上げて、質問に入ります。 それでは、まず、初めに、奈良新「都」づくり戦略2023について伺います。 奈良新「都」づくり戦略2023では、15年後の2037年にリニア中央新幹線全線開業が迫っており、令和5年度は、いよいよリニア中央新幹線奈良市附近駅の確定に向けた環境影響評価が開始されるとして、大規模広域防災拠点整備、関西国際空港接続線構想と併せて、リニア関連3点セットの実現を基軸に、様々なプロジェクトを進めると述べております。いずれも巨額の費用をかける大開発事業です。 リニア中央新幹線は、そもそもスーパー・メガリージョン、巨大経済の核として、東京、大阪間を約1時間で結び、3大都市圏を一体化し、およそ7,000万人の巨大都市圏をつくり、ヒト、モノ、カネ、情報を集中させる計画です。地方から吸い上げられることを目指しており、大阪、名古屋の中間に位置する奈良県にとってはメリットが想定しにくい計画だと思います。 費用対効果という点でも、JR東海自身が、単独では採算が取れないと認めています。品川、名古屋間の総事業費が1兆5,200億円増額され、7兆400億円となっていますが、工事が継続されれば、さらに工事費が膨張することは避けられません。3兆円の財政投融資資金の償還も危ういにもかかわらず、公共事業ではないとして、事業評価や費用対効果分析も行われません。 知事は、リニア中央新幹線の奈良市附近駅位置確定につながる環境影響評価の令和5年度実施を見込んでいますが、JR東海では、いまだその時期を表明されていません。 むしろ、政府が名古屋から大阪間の開業に前のめりの姿勢であり、国家プロジェクトとして、今後、国民負担がどうなるのか懸念されます。 日本共産党は、気候危機の中、消費電力が新幹線の4倍、大深度地下工事の危険性、おびただしい環境破壊などの問題が大きいリニア計画は、中止をすべきと提言しています。 リニア中央新幹線の開業を見込んで、トンネル工事で発生する土砂を五條に運ぶための新たな鉄道新線や、リニア工事のトンネル残土を活用する2,000メートル級滑走路計画など、巨額の投資をしてまで進める必要があるのか、実現の可能性、採算性の見通しもあるとは思えません。 世界遺産である平城宮跡の地下埋蔵文化財や、多くの地下遺構が、地下水によって守られてきたこの奈良で、既に京奈和自動車道大和北道路が地下トンネル工事を進める計画で、地下水への影響、文化財への影響が心配されています。リニア中央新幹線によって、さらに地下トンネルを掘る計画であることも大問題です。 私たちが、県民の皆さんにお願いした暮らしのアンケートには、多くの方々から、バス路線の廃止や自動車運転免許証の返納により、移動が困難、買物や通院に困っているという声が寄せられました。また、歩道が狭くて危険、車椅子やベビーカーで移動できないなど、リニアより身近な移動手段を何とかしてという切実な声です。 一方、少子化の加速が止まりません。厚生労働省によると、2021年の出生数は81万1,604人と過去最少を記録、前年より2万9,231人少なく、6年連続減少しています。2022年度出生数が80万人を割ると推計されています。 内閣府が実施した2020年度の少子化社会に関する国際意識調査で、日本は子どもを産み育てやすい国だと思うかとの質問に、全くそう思わない、どちらかといえばそう思わないを合わせて、6割が産み育てにくいと回答しています。教育費が完全無償で、親の働き方が安定しているスウェーデンでは、97%が自分の国は子どもを産み育てやすい国だと思うと回答しているのと対照的です。 パネルをご覧ください。日本が子育てしにくい国になっている最大の責任は、政治にあります。政府が自己責任論を振りまき、子育て世帯の働くルールを大きく壊し、低賃金で働く非正規雇用が増やされました。今や、若者の2人に1人が非正規雇用となりました。一生懸命働いても、低賃金で生活は不安定、社会人になると同時に奨学金返済の借金を負わされます。子ども子育て予算が低水準のままで、家庭予算も教育予算もGDP比でOECD加盟国の平均以下、高学費、多人数学級、劣悪な保育条件、子どもの貧困などが改善されないままになっています。 世界では、学費の無償化を進め、多くの先進国で学費は大学まで無償です。日本では、子育て、教育にお金がかかり過ぎることが、親にとっての最大のストレスになっています。政府が2020年に行った意識調査では、育児を支援する施策として何が重要かという問いに対して、断トツ1位は教育費の軽減で、69.7%に上っています。 パネルをご覧ください。義務教育は無償と言われますが、実際には隠れ教育費と言われる給食費、教材費、クラブ活動費など、負担が重く、高校生の保護者からは、パソコンの購入や通信費のほか関連費用、通学費の負担が大きいと訴えられています。すべての人が等しく教育を受けることができる権利、誰もが人生をよりよく生きるために人格を形成し、学力を身につけることを保障しなくてはなりません。 お金の心配なく、子どもを安心して産み育てられる奈良県になってこそ、若い人たちが希望を持って住み続けることができます。一人ひとりを大切にして、可能性を引き出す教育こそ、長い目で見れば未来を切り拓く力になると思います。 そこで、知事に伺います。 今後の奈良県発展のために、費用対効果の不明なリニア関連3点セットなどの大型開発計画は見直し、県民の身近な暮らしや子どもの未来に寄り添った施策へ転換すべきと考えますが、いかがでしょうか。 次に、非正規雇用の正規雇用化について伺います。 生きるために欠かせない食料品、電気、ガスなど生活必需品が軒並み大幅値上げで、県民の暮らしと営業が追い詰められています。出費が増えたのに給料が上がらない、年金が減らされて生活ができない、バイト代が減少しているなどの声があふれています。私たち県議団が昨年行った暮らしのアンケートでは、暮らしが以前より厳しくなったと答えた方は約7割、収入の減少や物価高によると回答されています。 現状を打開するためには、賃上げを軸に、実体経済を立て直すこと、とりわけ内需を活発にすることが重要です。働く人が豊かになってこそ、経済も強くなります。今、最低賃金の引上げが経済活性化を促進することから、アメリカをはじめEUの各国で最低賃金引上げが大きな流れになっています。賃上げがかぎであることは、政府も日銀も経済界も、誰もが否定しません。しかし、実質賃金を10年間で24万円も減らしたアベノミクス・新自由主義を継承・継続するというのでは、まともな賃上げはできません。 なぜ日本が賃金の上がらない国になったのか、グローバル化の影響、産業構造の転換、賃金格差の大きい非正規労働者の激増を進めてきた、大企業、財界の経営戦略が大本にあると言われています。労働力調査によると、2002年から2021年の間に増加した雇用者のうち、90%以上が非正規労働者となっています。賃金は、正規労働者と大きな格差があります。賃金構造基本統計調査によると、正社員、正規労働者の月例平均賃金が32万4,200円に対して、非正規労働者は21万4,800円で、66%でしかありません。 企業は、人件費を大幅に削減でき、有期契約雇用なので雇用の調整弁として利用することもできるとして、非正規雇用の活用が進められてきました。非正規雇用の拡大は、労働者全体の賃下げ圧力となり、賃金の上がらない国となったのです。 こうして、大企業が賃上げを抑制して、大幅なコスト減らしで利益を膨らませ、内部留保を積み増しています。資本金10億円以上の大企業の内部留保は、10年間で57.3%増加し、2022年9月末で505兆4,000億円となっています。 私たち日本共産党は、物価高騰から暮らしを守るために、一時的な価格抑制策だけではなく、第1に消費税を緊急に5%に減税すること、インボイスは中止すること、第2に、政治の責任で賃金の上がる国にしていくこと、この間積み上げられた大企業の内部留保のうち、必要なものは除いて、期限を切って課税して財源を生み出し、中小企業の賃上げ支援を行うことを提案しています。 第3に、物価高に見合った年金額の引上げや、医療介護の負担軽減、学校給食の無償化、学費軽減、給付型の奨学金拡充などを提案しています。その財源は、安易に国債発行に頼るのではなく、富裕層や大企業に応分の負担を求め、大軍拡の中止など、税財政の改革で確保する提案を発表しています。アベノミクスのもとで広がった格差を是正して、大企業や富裕層がため込んだ剰余資金を有効活用して、社会全体として消費を活性化して、経済成長をもたらすことにつながります。 片や、中小企業や小規模事業者は地域に根を下ろし、ものづくりやサービスの需要に応え、雇用を生み出す、地域経済を担う最も重要な存在です。しかし、政府の中小零細企業への支援は、自助努力を前提に、収益力の改善・事業再生支援が主な内容で、潰れるところは潰れて新陳代謝を促さないと、経済の邪魔になるという自己責任論、中小企業淘汰論の立場と方針になっています。 長引くコロナ禍、異常な円安、物価・原材料の高騰の3重苦が、中小零細企業を苦しめています。こういうときに、地元の正規雇用を増やして、賃金引上げができるように支援を行って、持続可能な伝統・地場産業、地域経済循環への転換を促すことが求められていると思います。 2017年就業構造基本調査では、奈良県の非正規雇用者の割合が41.1%で、全国3番目に多い実態です。 そこで、知事に伺います。 非正規雇用の正規雇用化を進めることが重要と考えますが、県としてどのように取り組んでいくのでしょうか。 次に、新型コロナウイルス感染症について伺います。 岸田政権は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを、現在の新型インフルエンザ等感染症から、5類感染症に引き下げる方針を決定しました。この変更に伴い、新型コロナウイルス感染症の医療費の公的負担、また診療報酬上の特例措置や病床確保量、高齢者施設への検査・医療支援などの見直し、感染に不安を感じる方に無料でPCR等検査を行う一般検査事業の終了など、各種の新型コロナウイルス感染症対策の施策の見直し、縮小・廃止を進めていくとしています。 しかし、5類感染症に変更しても、新型コロナウイルスの性質が変わるわけではありません。しかも、いまだ感染が収まらず、死者が増えている状況であり、奈良県で新型コロナウイルス感染症の死亡者数は、2月21日の時点で829名に上ります。うち70歳以上高齢者は、758名です。 新型コロナウイルス感染症に対して、リスクの大きい高齢者や高齢者施設での実態は、今後の教訓にしなくてはならないと思います。この間、第7波、第8波と、高齢者施設でのクラスター発生が増加、高齢者の多くが施設内で療養することになっていますが、急変して救急車を呼んでも受入病院がなく、長時間救急車で待機せざるを得ない深刻な実態が訴えられています。 21世紀老人福祉の向上を目指す施設連絡会が、2022年11月に公表した全国老人ホーム施設長アンケートによると、コロナ禍で事業継続のために最も大切な支援は、コロナ感染陽性となった方が全員医療機関に入院できる体制の確立であるとの回答が最も多く、75%となっています。その理由は、施設内では適切な治療が受けられない、とされています。高齢者施設では医療的対応ができないのに、対応し続けなければならない職員の苦悩を放置し続ける行政の姿勢に、怒りしかないとの声が寄せられています。やむなく施設で療養し、亡くなった例があるとの回答は103件に上ります。 また、施設内で療養となると、新型コロナウイルス感染症に罹患していない他の入居者の診療が拒否されるとの訴えもあります。職員の体制は、平常でもぎりぎりなのに、施設内療養に職員を配置すると、さらなる負荷がかかります。コロナ禍の3年、介護職員は、緊張の連続です。長年社会のために尽くされてきた高齢者の命が大切に守られなくてはならないと思います。 新型コロナウイルス感染症の感染力は、季節性インフルエンザよりはるかに高く、今後、新型コロナウイルス感染症を感染症法5類に位置づけられた場合に、さらに感染者が増え、死亡者が増加するのではないかと危惧します。入院調整に保健所や自治体が関わらなくなったら、入院先の確保が一層困難になるとの不安は消えません。公的な支援から手を引き、現場に苦難を押しつけることなど、あってはなりません。必要な方が入院できる体制の整備や、すべての高齢者福祉施設入居者が、新型コロナウイルス感染症罹患時に安心して医療を受けられる体制の強化が、これまで以上に必要であると考えます。 今後、新型コロナウイルス感染症の医療費負担が増えれば、新型コロナウイルス感染症の治療薬は高額のため、経済的理由で受診をためらい、診断が遅れて重症化することや、感染拡大につながることも懸念されます。政府は、今後は幅広い医療機関が新型コロナウイルス感染症に対応するようにしていくと言いますが、コロナ患者とそれ以外の患者の分離が不要になるわけではなく、医療機関への支援が縮小されれば、対応しにくくなるおそれもあります。政府とともに、奈良県としても、県民の命と健康を守るために必要な対応を行う責任があります。県として、今後も新型コロナウイルス感染症は引き続き警戒を強めることが必要な感染症であることや、医療福祉の現場の状況把握を続け、科学的で正確な情報発信を強める必要があると考えます。 そこで、医療政策局長に伺います。 新型コロナウイルス感染症の感染法上の分類が5類に見直された後も、医療費や病床確保のための支援、ワクチン接種費用の公費負担、学校や施設でのPCR検査、発熱相談窓口の設置など、必要な新型コロナウイルス感染症対策が継続されるように国に求めるとともに、県としても継続されるよう求めますが、いかがでしょうか。 次に、地域医療構想について伺います。 県では、現在41の医療機関に569床の新型コロナウイルス感染症病床を確保していますが、医療機関においても、第8波により1月23日時点で、県内76病院中54病院で新型コロナウイルス感染症の院内感染、クラスターが発生しています。収束しても、再度クラスターとなるケースも多く、800人を超える職員が感染、濃厚接触者を加えると、およそ1,000人規模で仕事を休まざるを得ない状況が起こりました。それでも、医療機関では懸命の努力で、県民の医療、命を守るために奮闘いただいています。救急搬送の応需率も、新型コロナウイルス感染症の影響により、日によっては5割を切るまで悪化したときもあると聞いています。 コロナ禍で、ますます高度急性期医療、急性期医療の役割が重要となっています。県は、地域の実情に応じた医療提供体制の構築に努め、医療費削減を進めるとされていますが、政府が進める地域医療構想のもとで、2016年から2021年度の間に、急性期病床の分類を行って転換が進められ、378床減少しています。このことが妥当であったのか、検証が求められていると思います。 そこで、医療政策局長に伺います。 地域医療構想のもとで、急性期病床の転換が進められていますが、今後の感染症対策新型コロナウイルス感染症に代わる新たな感染症の発生のおそれも指摘されている中で、急性期病床の削減はせず、拡充していくことが必要かと思いますが、いかがでしょうか。 次に、平群町櫟原地区のメガソーラーについて質問します。 私たち共産党県議団は、令和2年2月議会より、このメガソーラーの問題について質問してまいりました。 2021年6月に、事業者による下流河川勾配偽装が発覚し、県から工事停止の行政指導がされました。それ以降、再三にわたって必要な防災工事の早期実施を求めてきましたが、3度にわたって指導が守られませんでした。県は強く指導すると答弁を繰り返しましたが、事業者はその指導を無視したのか、県が指導しなかったのか、責任を明確にすべきです。住民の安全を無視した行為に、地元住民らが、自然環境破壊、土砂災害などの危険性を訴え、行政による厳しい処分、開発許可取消しを求めています。 昨年9月に県に提出された事業者の変更申請では、勾配偽装に続き、洪水流出量の計算で、専門業者が犯すはずのない単位間違いをして、洪水量を過少に計算していたことが、住民により県に通報されています。本年1月31日の県林地開発審査部会でも、部会長から、チェック体制はどうなっているのかと質問されています。 あり得ないミスは2019年の当初申請、2021年の1回目の変更申請、2022年9月の2回目の変更申請で何度も繰り返され、2021年の変更申請は取下げに至っています。本来、事業者の段階で訂正されるべきミスを、許可権者である県が見過ごしている事態は、次に述べる調整池の容量の計算においても、住民から強い疑義を生み、住民は国土交通省、林野庁に赴き、相談を行うまでの事態になっています。 事業者は、2022年9月に防災工事を完成しないまま、県へ開発許可変更申請を提出しました。この変更申請で、事業者は、4つ設置予定の調整池のうち、ある1つの調整池の容量を例に挙げますと、大規模開発で適用される大和川流域調整池技術基準に基づく5,098立方メートル、宅地及びゴルフ場等に伴う調整池技術基準に基づく7,905立方メートルと、それぞれ計算しています。 これに対して、平群町の住民は、京都大学防災研究所の奥西一夫名誉教授の指導のもとで、大和川流域調整池技術基準に示された、いわゆる厳密計算法で計算を行い、8,894立方メートル以上の容量が必要ではないかと指摘しています。変更申請書の調整池容量では、50年確率降雨時の計算で、降雨開始後12時間あまりで調整池はあふれ、以後、12時間にわたってあふれる状況が継続します。県は、本年1月10日に住民から同計算書を受け取りながら、詳細な検証もしておりません。住民らは、大和川流域調整池技術基準に示された厳密計算法に基づき確認をして、検討内容を報告してほしいと要望されています。 住民らは、大和川流域調整池技術基準に示された昭和57年の大和川洪水時の降水量に対しても、実際に起こった降水量と下流河川に流下できる水量を1時間ごとに計算して、必要容量が8,643立方メートルであることを確かめています。現在の申請内容では、ピーク時に2度にわたって調整池があふれてしまうと指摘しています。 以上の各計算のうち、事業者の計算数値、住民による50年確率、昭和57年降雨時に対しての計算数のうち、数値の大きい8,894立方メートルを採用するべきではありませんか。下流地域にある住宅地には2,000戸、7,000人を超える住宅地があり、住民はなぜ県による厳しい審査が行われないのかと、事業者、県に対する不信を訴えられています。このような住民の疑義に対して、事業者は十分な説明を行っていません。2度にわたって、事業者の誤りを県が見過ごし、住民の指摘で訂正される事態が続いています。災害防止に係る調整池容量についての住民の指摘に対して、河川整備課が内容の確認すら行わないことは、住民の命を軽視するもので、許されません。 県は、事業者から出された開発許可変更申請を受理しており、調整池の容量が、申請内容と住民の試算では、4つの調整池の合計で4,000立方メートル以上容量が不足する内容のまま、許可されようとしています。住民は、計画内容が本当に安全か、災害の危険がないのかという不安、懸念を強く訴えています。 また、開発地から放流される櫟原川の下流1.5キロメートルは、奈良県の管理河川です。平群町が独自にコンサルタント会社に依頼して行った調査では、7か所のうち3か所で、3年確率のピーク流量が流せない判定になっています。県は、河川管理者として改修する計画がないと、住民に回答しています。3年に一度あるような大雨のときに流せない川が、小学校の通学路を横切っています。調整池があふれる問題に加え、流れ出る水を流すべき県管理河川が能力不足のまま、濁流が住宅地や子どもたちの通学路を襲う、そんな危険な事態が想定されます。住民、子どもたちが安心して暮らし、通学できるよう、開発計画の見直しと河川改修が必要です。 そこで、県土マネジメント部長に伺います。 開発に伴う防災調整池の審査は、河川整備課所管の技術基準に従っていると聞きますが、平群町のメガソーラー開発計画において、事業者が設置する調整池の容量の算出について、県はどのような基準に従い審査されたのでしょうか。 次に、水循環・森林・景観環境部長に伺います。 平群町のメガソーラー開発計画がこのまま進んでいくことについて、住民は不安を抱いていますが、今後、県は住民の不安に対してどのように対応されようとしているのでしょうか、伺います。 以上で、壇上の第1問、終わらせていただきます。ご清聴ありがとうございました。(拍手) ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)26番山村議員のご質問がございました。私に対する最初のご質問は、奈良新「都」づくり戦略2023についてでございます。 私は知事就任以来、奈良県をもっとよくしたいとの強い思いを持ち続け、努力を重ね、チャレンジを続けてきました。令和元年には、今後の県政発展の目標と道筋として、奈良新「都」づくり戦略を取りまとめ、この戦略に基づき、議論を重ねながら、知恵と工夫を凝らして、各般の施策に取り組んだところでございます。 さらに、14年後に迫ったリニア中央新幹線奈良市附近駅の設置と関連する事業の実現を基軸としつつ、子育て・女性支援・医療・福祉・介護など、県民の暮らしの向上に実効性のある取組を数多く盛り込んだ奈良新「都」づくり戦略2023を、先般取りまとめたところでございます。 この新「都」づくり戦略に取り上げたプロジェクトのうち、ご質問のあったリニア中央新幹線奈良市附近駅設置は、これまで国土軸から外れていた本県にとって、県民生活の向上や、県全体にわたる産業・観光振興などが見込まれる、またとない大きな飛躍の機会となるプロジェクトでございます。新幹線の駅がないのは、奈良県を含め2県しかないわけでございます。 大規模広域防災拠点の整備は、近い将来発生が確実視される南海トラフ地震をはじめ、大規模な自然災害に備えるものでございます。 関西国際空港接続線構想は、リニア中央新幹線の整備効果を本県の発展に最大限活用するためのものでございます。 このリニア関連3点セットをはじめとするプロジェクトは、今後奈良県が発展していくために必要な屋台骨となる、極めて重要なものでございます。県が実施するものについては、国が7割も負担をする緊急防災・減災事業債など、有利な財源を活用し、進めてまいりますし、リニア中央新幹線は、そもそも民間企業のJR東海が自己資金で建設、運営されるものでございます。民間の投資の効果が奈良県に波及すること自身は、基本的に大変ありがたいことだと思っております。 こうした未来への投資でありますプロジェクトと併せ、県民の暮らしの向上や、子どもの未来にとって実効性のある取組も、確かなエビデンスに基づいて着実に進めているところでございます。 例えば、子どものはぐくみでは、昨年4月に制定いたしました奈良っ子はぐくみ条例に基づきまして、妊娠期から切れ目のない子育て支援、保育人材の確保・育成や就労と子育ての両立支援、こども食堂の充実などの取組を進めております。これまでの取組の効果もあって、令和3年の本県の合計特殊出生率は1.30と、前年から0.02ポイントも上昇しており、この上昇幅は全国3位の高さとなったところでございます。 また、この2月議会には、障害のある人に寄り添う条例やスポーツに親しむ条例、高齢者の社会参加を進める条例など、県民の暮らしをよくするための7つの政策条例を提出させていただいております。これらに基づき、体系的かつ継続的な県民の暮らし向上のための取組をさらに進めていきたいと思っております。 こうした未来への投資とともに、県民の身近な暮らしに役立つ施策を着実に実行することにより、本県の自立が図られ、そして、県民の皆様の暮らしがよりよくなるものと確信しております。 今後も引き続き、奈良を発展させる波の勢いを止めることなく、「良くなる奈良を、もっと良く」するために、全力を尽くしてまいりたいと思っております。 非正規雇用労働者の正規雇用化についてのご質問がございました。 令和3年の国の調査では、非正規雇用労働者の賃金は正規雇用労働者より月額で約10万円低くなっており、賃金格差が大きい状況にあります。また、平成30年の国の調査によりますと、15歳から34歳までの若年非正規労働者の41.8%が正規雇用で働くことを希望されており、全国的に数多くの方が不本意に非正規雇用の形で働いておられるものと見受けられます。 本県では、非正規で働く方が希望に応じて正規雇用で働けるよう支援していくことが、県民生活の安定や向上の観点から、とても重要だと思って施策を進めております。 今議会に提案しております、地域において多様な人材がいきいきと働き活躍するための人材育成計画におきましても、新たに非正規雇用労働者に対する能力開発の支援を主要施策の1つとして盛り込んだところでございます。 具体の取組内容を幾つか申し上げますと、まず、非正規雇用から正規雇用への転換に取り組む事業所を支援いたします。令和5年度から新たに社会保険労務士などの専門家を事業所に派遣し、非正規雇用労働者の能力開発や正規雇用への転換制度の導入等を支援したいと思っております。また、事業者の従業員が受講されますオンライン学習の充実を図ってまいりたいと思っております。非正規雇用労働者のスキルアップやキャリアアップを支援するカリキュラムを学習内容に加え、正規雇用への転換を促進していきたいと思っております。 次に、離職された方を対象に、正規雇用での再就職を支援したいと思っております。令和4年度から、正規雇用での採用を前提とし、企業とマッチングの上、実習を経て就職につなげる取組を実施しております。令和5年度は、対象人員を拡大して実施していきたいと思っております。 このほか、民間委託で実施する訓練においても、国家資格取得などにより、高い職業能力を習得するためのコースを設定しております。非正規で働く方をはじめ、多様な人材が希望する働き方で働き、安心して暮らせる、働いて良しの奈良県を目指して、今後も積極的に取り組んでまいりたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 平医療政策局長。 ◎医療政策局長(平夏来) (登壇)26番山村議員から、私には2つご質問いただきました。 まず、1つ目は新型コロナウイルス感染症の5類への見直しに関するお尋ねでございます。お答えさせていただきます。 山村議員お述べのように、先般、国において、5月8日から新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置づけを2類相当から5類に移行させ、この変更に伴って、新型コロナウイルス感染症に係る各種の措置を見直すこととされました。 その内容として、まず、国では、位置づけ変更によって患者の負担増が急激なものとならないよう、医療費の自己負担分への一定の公費支援について、期間を区切って継続するとされています。 また、入院や外来に係る医療提供が、原則として季節性インフルエンザなどと同様となるため、幅広い医療機関で新型コロナウイルス感染症の患者に対応できる医療提供体制への段階的な移行を目指すとされています。 あわせて、これら医療費の公費支援や医療提供体制について、具体的な方針を3月上旬をめどに示すとされました。 この国の動きを受け、県では、県民の皆様や医療現場に混乱を生じさせず、生命・健康を守りながら円滑に移行させる必要があるとの考えのもと、現場の声を十分に踏まえた上で、万全の対策を講じていただくよう、今月8日、全国知事会を通じて国に要望したところです。 その上で、県では、3月上旬に国から示される内容を踏まえ、山村議員お尋ねの各種取組の今後の取扱いを含め、医療費の公費支援や医療提供体制について、検討を進める考えです。 県では、かねてより重症者・死亡者を減らすことを最大の目標に、新型コロナウイルス感染症に感染しても安心して医療を受けていただけるよう、医療提供体制の確保・維持に努めてまいりました。新型コロナウイルス感染症の分類の変更後も、引き続き県民の皆様に安心して医療を受けていただけるよう、しっかりと取り組んでまいります。 次に、2つ目は、地域医療構想に関してのお尋ねをいただきました。 新型コロナウイルス感染症対応が続く中ですが、地域医療構想の背景である人口構造の変化や少子高齢化など、中長期的な状況や見通しは変わっていません。 このことから、地域医療構想は、病床数の必要量の推計や考え方など、その基本的な枠組みを維持しつつ、着実に取組を進めていくことが必要と考えています。 本県では、これまでから、病院の統廃合や病床削減ありきでは考えないこと、エビデンスに基づき、民間病院も含めた地域全体で、医療機関ごとの役割分担や連携の議論を重ねること、の2つの視点を大事にして、地域の実情や将来の医療需要の変化に対応した医療提供体制の構築を目指してまいりました。 この中で、重症な患者に対する救急医療や高度医療を担う断らない病院と、地域包括ケアシステムを支える面倒見のいい病院という2つの方向性を各病院にお示しし、医療機能の分化・連携を促してきました。 これらの取組の結果、地域医療構想のスタート時と現在の奈良県全域の病床数を比べると、各病院の役割分担と連携の強化が進み、920床の減少となっています。 一方、重症患者の救急医療や高度医療を担う高度及び重症急性期病床は354床増加し、救急搬送時間の短縮など、急性期医療に係る実績も大きく改善しています。 引き続き、医療機関の負担も考慮しながら、将来にわたり持続可能な医療提供体制を確保するため、医療機能の分化・連携に向けた議論を継続してまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。
    ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)26番山村議員より、私には、平群町のメガソーラー開発計画について、防災調整池の審査をどのような基準に従い行ったのかというご質問をいただきました。お答えいたします。 大和川流域は、放射状に非常に多くの支川を有するという特徴があり、治水安全度を向上させるには、雨水の河川への流入抑制が重要となっています。そのため、昭和57年の大和川大水害を契機に、総合治水に取り組んでまいりました。 また、平成29年には、大和川流域における総合治水の推進に関する条例を制定し、林地開発や宅地造成行為等に伴う防災調整池設置に関する届出を義務化しました。 この条例において設置を求める防災調整池は、開発行為に伴う雨水の流出量が、開発前の量を上回らないように調整を行うものです。 具体的には、土地利用形態の改変に伴う雨水の流出のしやすさと開発面積に応じて、必要な防災調整池の容量を算出し、設置するよう求めています。 大和川流域において、5ヘクタール以上の林地開発や宅地造成等を行うときは、大和川流域における総合治水の推進に関する条例第9条第2項に規定された知事が定める2つの基準、1つは、大和川流域調整池技術基準、今1つは、昭和57年水害以前より適用している宅地及びゴルフ場等開発に伴う調整池技術基準に基づき調整池の容量を算出し、より厳しいほうの数値を適用しています。 提出された届出を審査したところ、本件で設置する防災調整池は基準を満たしており、必要容量以上であることを確認しています。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) (登壇)26番山村議員から私へは、平群町のメガソーラー開発計画に関する住民の不安についての、県の対応に関する問合せでございます。お答えします。 平群町のメガソーラー開発計画については、令和3年6月に、事業者の許可申請書において、開発区域の下流水路の数値に誤りがあることを現認したことから、直ちに工事を停止させました。 県としては、事業者が工事停止に伴う応急防災工事を完了させ、変更許可を得なければ、工事停止は解除しないと、令和4年9月議会で私が答弁いたしました。 この応急防災工事では、工事を停止させた現況に対し、森林法の30年確率降雨の基準により調整池を18か所設置させるなど、災害や水害を防止する機能を確保させました。本年1月27日にこの工事が完了したことを、平群町職員立会のもと、現地で検査・確認いたしました。 一方、変更許可申請については、県は森林法、宅地造成等規制法及び大和川総合治水条例に定められている許可要件や技術基準に適合していることを厳正に審査し、災害・水害防止のための調整池は、大和川総合治水条例の技術基準に基づき、森林法基準の30年確率より厳しい50年確率の降雨に対応させています。 今後とも、県としては本件事業の動きを注視し、必要に応じて指導等を行うとともに、事業者に対して説明会など、住民への周知及び理解を得る取組を行うよう、引き続き指導してまいります。 県は、事業者に代わって事業計画の内容を説明したり、交渉したりすることはできませんが、法令等に定められた許可要件や技術基準などについては、許可権者として状況に応じて丁寧に説明させていただきます。 以上です。ご質問ありがとうございました。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 答弁ありがとうございました。 それでは、最初に知事にお伺いしたいと思います。 ご答弁いただきましたが、非正規雇用の方々を正規化していくために、どのような対応をしていただけるのか、私は、県内で頑張っておられる企業の皆さんが、非正規雇用の方を正規化される場合に、県が助成金を出すという形で、給料が上がるように支援をするべきだと思うのですけれども、そういうことについては、いかがお考えでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 先ほどから議論ありますように、非正規雇用の方は賃金が、給料が安いわけでございます。助成金とおっしゃったその意味が、転職支援のための助成金なのか、生活保護とか、いろいろな困難に対して助成金を出しますけれど、そもそも給料格差を助成するという意味であれば、多分やっていないと思います。少し、ご質問の通告が届いていなかったので、そのことを今、手持ちではありませんけれど。 先ほどから申し上げましたように、非正規雇用の方は不安定であるということと、転勤がないということがありますけれど、女性にとっては、近くでパートで働くというのは、ある程度メリットがありますので、非正規雇用で給料が高ければ、非正規雇用でも弾力的な勤務ができると、望ましいと考える方もおられますので、それは選択ですけれども、いや、正規雇用になりたいといった方にとって、正規雇用になれないのは望ましくないと考えておりますので、助成金を出す相手が、事業者に対して助成金を出すということ、研修をするための助成金など、いろいろなことでしております。それは、非正規雇用よりも正規雇用のほうが望ましいという考え方に基づいたものでございますし、このたび条例をつくりましたので、その条例に基づいて、体系的な施策の展開、助成金も含めた施策の展開はしていくことになると思います。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 例えば、国の助成金として、正社員化促進事業奨励金とか、キャリアアップ助成金という、非正規の方を正規にするための助成金があります。 例えば山形県を見ましたら、そうした国の助成金に対して、県が上乗せして支給されています。対象年齢40歳未満の方、この間4年間の実績では、1,117社で活用されて、2,100人の方が正規に転換されたと。そのときの県の支給額が3億円を超えておりますということですから、相当力を入れて、若い方の正規化というところに県が取り組んでいらっしゃるということが言えると思います。 奈良県の事業を紹介していただきました。私も予算書を見させていただきましたが、若者や女性向け、キャリアアップをしましょうとか、本人の希望するところに就職できるように応援しますよという事業がありますけれども、その就労支援、約7千万円ぐらいです。そういう条例までつくられるということであるし、また、若い方々の生活、しっかりと立ち行くようにしていくということから考えても、思い切った対策をやっていただきたいと、強く思っております。 次に伺いますけれども、子育て支援ですが、いろいろやっているというお答えがありました。1つお聞きしたいのですけれども、学校教育に係る負担の中で、今、ご家庭の中で非常に大きな負担になっております学校給食の無償化について、知事はどのようにお考えになっているかお伺いしたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 助成金の趣旨はよく分かりました。先ほどご説明したキャリアアップとか、転職促進は、かねてからやってきたものでございますので、やり方はいろいろあると思いますので、奈良県独自で役に立つようにしていきたいと思います。お金の額ではなく、効果が大事かと思います。 また、子育て支援の中で、家庭の子育て支援を応援するということは、いろいろやっております。子育て支援のいろいろなメニューがございます。そのときに、給食の支援というものは、割と目立つのですけれども、これはまたやり方で、いつも議論になりますけれども、お金持ちにも給食の支援をするのかとか、困った人に応じてするのかという、基本的な議論は、いつも山村議員としております。今、国の考え方は、基本的に困った人には支援しようということでございますので、給食の支援も1つのやり方でございますが、奈良県ではこども食堂というのを充実させようとしています。どのようなご家庭で、お金持ちとかそういうことにかかわらず、お母さんがいないとなかなか自分で食事が食べられないというご家庭や、共稼ぎが増えてきておりますので、そのようなお子様に対して、近所で、地域で食事ができるということは、例えば給食で十分な、おなかがまだ空いておられる方には、地域で、こども食堂で食べていく。放課後児童クラブと一緒に、放課後、子どもたちが遊びながら、おなかを空かさないようにするということは、奈良県が最も力を入れている分野でございます。子育て支援のやり方、いろいろあると思いますので、力を入れていることは間違いないとご理解願いたいと思いますが、そのやり方については、まだ議論を深めていきたいと思います。これでないといけないというのは、まだ確立していないように思いますので、また議論をさせていただけたらと思っております。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 私が申し上げているのは、学校教育は無償と憲法で決まっていますけれども、そうではない実態がたくさんある。特に、給食費の負担というのは、非常に重い負担になっていると。年間でいうと、5万円を超えるという負担がありますから、そういうものを、憲法に基づくように、すべて無償、教育にかかるお金を、本当に減らしていくということが、子育てをしやすい奈良県を創っていく上で重要だということで、申し上げております。 県下でもこの間、21市町村が無償化ですとか、給食費の助成というのを実施されています。ですから、県もやはり応援して、どこに住んでいても無償になるという、教育にお金がかからないという県にしていくという点で、応援してほしいということを申し上げております。 先ほど、知事は額の問題ではないということもおっしゃっておりましたけれども、確かに額だけの話ではないと私も思っているのですけれども、でも、一方で、リニア中央新幹線誘致、鉄道新線、2,000メートル級滑走路、金額、幾らか全く分かりません。今、出ている数字だけ合わせても2,500億円を下らない金額になると思うのです。そういうものを、一方ではどんと出しておきながら、他方で、そうした子どもたちに関わる予算、あるいは働く皆さんを支援する予算と、あまりにも格差があり過ぎると、私は思っています。ですので、考え方を、やはり開発中心ではなく、教育や子育て、そして暮らし中心ということに切り替えていただきたいと申し上げておきたいと思います。 時間がありませんので次に移りますが、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 県の技術基準に基づいて、厳しいほうの基準を満たしているのだというお答えでした。お伺いしたいのですが、住民の皆さんは林野庁にもアドバイスを求めて、他県の事例も調査の上、いわゆる厳密計算法が、洪水調整池容量の計算では一般的であると確認していると聞いています。厳密計算法の計算は二、三日で十分でありますし、改めて事業者に再検討を求め、より安全な防災設備を設置するように求めるべきではないかと思うのですけれども、この点についてはいかがでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) お答えいたします。 大和川流域における総合治水の推進に関する条例に基づく大和川流域調整池技術基準により、調整池の容量の検討をする際には、土地の利用の改変に伴い、流出しやすくなるのを防ぐという観点から、通常の場合は比流量、これは、単位面積当たりの流出する量のことを言います。立方メートル割る秒割る面積という単位でございますけれども、単位面積当たりの流出量を0.1とした定数を用いることとしております。これは大抵の開発の場合は、この定数を用いていれば十分であるという、過去のデータに基づいて行っているものでございます。 山村議員は厳密計算というお言葉を用いられましたが、この基準にはフローチャートに基づく計算というものが載ってございます。このフローチャートに載っている計算というのは、今申しました0.1という比流量よりも小さくなるような流出をする場合に活用することを想定した式でございます。それは、例えば洪水到達時間が1時間以上と長くなるような、開発地がほぼ平面でというようなところが想定されるのですけれども、今回の開発地はそのようなところではございません。比流量が0.1以下になるような想定ではございませんので、このフローチャートに基づく計算というのが、想定された開発ではございません。ということで、この手法を用いた計算というのは行ってございません。 以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 私は専門家ではないので、分からないことが多いわけですけれども、住民の方は、いわゆる大和川下流の1ヘクタール当たりの、1秒間に0.1立方メートルとする比流量で調整容量を計算しているけれども、事業者は、本事案では、櫟原川の狭小地点での0.024立方メートルを考慮すべきではないかと言われております。要約して、私が今、厳密計算法と言いましたけれども、その計算の方法は、要するにこの事案については必要ないということなのか、その点、お答えください。 ○議長(岩田国夫) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 今おっしゃいました、0.02幾つというのは、大和川流域調整池技術基準に基づくものではございません。先ほどのゴルフ場や宅地開発のときに適用する技術基準でございまして、昭和57年の大水害よりも前にできた基準でございます。そちらで設定しています考え方は、下流に流れる川のところの流量に影響を与えないという観点でございまして、大和川の条例で求めている調整池の計算とは目的も、モデル式、雨の降り方の設定、すべて違ってございます。そうしたことですから、それぞれの考え方に基づいた基準で調整池の容量を計算しまして、より厳しいほうを適用するということでございます。0.02を用いて大和川流域調整池技術基準を計算するというと、2つの基準を混ぜ合わせたような計算になりますので、そのような手法というのは、技術的にはよろしくないかと考えてございます。 以上でございます。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 分かりました。私は少し、理解をきちんとしているわけでは全然ないのですけれども、住民の方が、本当にそのことが妥当だと納得できるようなご説明を引き続きしていただいて、納得できるものであるかどうかというところで判断していただきたいということを申し上げておきたいと思います。 次に、塩見水循環・森林・景観環境部長にお伺いしたいと思います。 住民の皆さんは、2021年6月の工事停止後、2022年10月までの1年4か月間は、防災設備がないまま現地が放置されていたこと、そして、県から再三、防災工事実施の指導に従わずに、ようやく出来上がったのが今年の1月ということで、このような、長期間そのままにしていた不誠実な態度について、不信や怒りを訴えておられます。このことだけでも、許可取消しが必要であると考えるのですけれども、その点についてはいかがでしょうか。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 何回か、事業者に対して指導してまいっております。最初に、必要な調整池を設置するように事業者に対する指導を強化してまいりますということで、申し上げました。これにつきましては、7月に工事が完了しております。 その次に、昨年だと思いますけれど、6月議会で申し上げたのは、30年確率降雨に対応できる調整池を9月末までに設置できるように、強く指導してまいりますと答弁をさせていただきました。これにつきましては、事業者から9月1日に、年内の工事完了を目途とする応急防災工事の着手届が提出され、そして、最終的には1月27日に応急防災工事が完了したということになります。それぞれその段階で必要な措置を講じておりますので、特に事業者が不誠実な対応を取ったとは理解はしておりません。 以上です。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 業者が不誠実でないとは、私はとても思えないと思います。私たちも、議会で何回もただしました。一体いつになったらやれるのか、やらせるのか。それに対して、引き延ばし、引き延ばし、引き延ばしされて、最終的に1月になってできたということでありますけれども、そういう態度が不誠実でないと、到底言えないと私は思います。あくまでも、この許可条件がそろっていたら許可をするということを考えていらっしゃるのかとは思うのですけれども、そもそも事業者は安全対策を事前に行わずに、山林を伐採しました。それだけでも重大な問題ですし、勾配を偽装することは、本当に、通常では考えられない、悪質な行為であると言わなければなりません。県の指導にも、何度も何度も言っても従わないと。そういう業者に対して、住民の方が信頼できない、これから先、どんなことが起こるのかと不安に思われるのは、当然ではないかと思うのです。 この計画は、甲子園球場にすると12個分になりますし、48ヘクタールの土地に5万枚を超える太陽光パネルが設置されるものです。住宅のない山林というような地域ではありません。すぐ下に、もう本当にすぐ下に、2,000戸の住宅が建ってあります。そこに住んでいらっしゃる方からすれば、何かあったら直接被害が及ぶ、そういう不安というのは、決して拭われるものではないと思うのです。そういうときに、また、こうした経過が繰り返しある中で、県が事業者の都合を考えているのではないか、住民の安全を守る立場に本当に立ってくださっているのかというところを、住民の皆さんが問うていると思うのですが、この皆さんの思いということについていかがお考えか、お聞かせいただきたいと思います。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 繰り返しになりますけれども、工事停止の時点では、現地の木の伐採、そして、搬出のための仮設作業道の土地改変が行われまして、伐採が終えたという状況でございました。本来であれば、その後、調整池を造るという、造成工事を行うということになっておりましたが、切土、盛土を行わない、できるだけ行わないような形で現場の安全を確保するために、応急防災工事をしたということでございます。段階的に、その都度その都度、その現場で必要となる措置をやっていたということでございます。 以上です。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 私が今お聞きいたしましたのは、事業者の都合ではなく、住民の安全を守る立場に立って判断していただいたり、あるいは、住民の皆さんの思いを受け止めていただいているのかということをお聞きしています。 ○議長(岩田国夫) 塩見水循環・森林・景観環境部長。 ◎水循環・森林・景観環境部長(塩見浩之) 住民の皆様の一番の懸念というのは、やはり災害だということがございます。現場の安全を確保するというのが一番でございますので、工事の停止をさせまして、現場の安全を確保するために応急防災工事をするように、事業者に対しては指導したということでございます。 以上です。 ○議長(岩田国夫) 26番山村幸穂議員。 ◆26番(山村幸穂) 事業者に県は指導していただいているということでありますけれども、しかし、この間の再申請という形で出されたことにつきましても、先ほどの県土マネジメント部長からお答えいただきましたが、その調整池の容量につきましては、いまだ住民の皆さんには到底納得できないと、容量についての疑義がございます。そして、そのことについて、業者もきちんとした説明もなさっていらっしゃらないということでもあります。 やはりこれは、住民の皆さんにとっては、直接災害にも関わってくる重大な問題だと思います。やはり私は、県民の命を守るという、県の立場が重要だと思います。そのために最善の努力をしていただかなくてはならないと考えておりますので、今の住民の皆さんの不安、あるいは、解明されていないこの問題、きちんと解決ができない状況で許可が下りるであるとか、そういうことには、決してあってはならないと思っています。引き続いて、安全対策は本当に万全なのか、あるいは、こういう業者が事業を今後やっていく上で、さらなる不安が広がるのではないかという懸念もありますから、住民の皆さんが願っているように、許可取消しということについて、引き続き、様々な形で皆さんと連帯して、事業者の皆さん、住民の皆さんとともに取り組んでいきたいと思っておりますので、よろしくお願いしたいと思います。 以上で私の質問を終わります。(拍手) ○議長(岩田国夫) しばらく休憩します。 △午後3時42分休憩    -------------------------------- △午後3時59分再開 ○副議長(西川均) 休憩前に引き続き会議を開きます。 次に、16番清水勉議員に発言を許します。--16番清水勉議員。(拍手) ◆16番(清水勉) (登壇)皆さん、こんにちは。奈良テレビをご覧の皆様、こんにちは。北葛城郡選挙区選出の、日本維新の会、清水勉でございます。議長のお許しをいただきましたので、日本維新の会会派を代表して質問をさせていただきます。 新型コロナウイルス感染症も、この5月から、感染症の位置づけを2類から5類に移行すると発表され、様々なガイドラインの見直しもされ、ようやく社会活動が元に戻ることと期待しております。2025年、大阪・関西万博への影響も少なくなるように感じております。 一方、昨年2月24日にロシアによるウクライナへの侵略戦争が始まり、ちょうど1年が経過し、罪のない多くの犠牲者が増え続けていることに、本当に胸が痛みます。そして、この戦争が原因で国内の物価が高騰し、我々県民生活にも多くの影響が出ておりますことから、私たち会派3名は、昨年末に引き上げられました県議会議員の期末手当0.05月分を受け取れないとして、法務局に供託いたしました。 日本の周辺はどうかといいますと、西は北朝鮮の核開発とICBMの問題、中国と台湾の問題、そして、中国公船の尖閣諸島周辺海域への領海侵入、北はロシアとの様々な問題、今こそ、民主主義社会が結束を強めて平和を維持するための取組を進めるとともに、国民・県民の生命財産を守る強い意思と行動を、政治は持たなければならないと改めて思っております。 さらに、2月6日にはトルコとシリア国境付近で大きな地震が発生し、5万人を超える人々がお亡くなりになり、150万人以上の方々が家を失っているとの報道でございます。お亡くなりになった方々に、心よりお悔やみを申し上げます。 1995年1月の阪神・淡路大震災、そして、2011年3月の東日本大震災を経験した日本。南海トラフ地震の発生確率が上がっていることも、本当に気になります。 2期8年を振り返りますと、私が昭和57年8月の大水害を経験したことが、今でも鮮明に脳裏に焼きついていることから、防災を中心とした質問を多くさせていただき、その都度、荒井知事はじめ理事者の皆様から、誠実なご答弁をいただきました。特に、奈良県平成緊急内水対策事業は荒井知事肝煎りの事業で、大和川流域市町村の各所で大きな成果を上げていただきましたことに、感謝いたしております。 しかしながら、地球温暖化による異常気象の発生は年々増してきており、想定外の災害発生が起きるたびに、現状の安全対策では十分ではないことを思い知らされ、災害対策にも選択と集中が求められるようになってきてまいりました。 では、今任期最後の質問を荒井知事に3問、県土マネジメント部長、地域デザイン推進局長に各1問、通告に基づき、一括して質問をさせていただきます。 まず、大阪・関西万博について、知事にお伺いいたします。 2015年3月に、今までは関西広域連合加入をかたくなに拒んでこられた荒井知事が、選挙戦を前に突如として、関西広域連合が国の出先機関の機能は持たないことになったとして、観光、文化、防災の分野に部分加入を決められました。しかし、私は、関西広域連合が国の出先機関としての機能がないと認識されたのであれば、なおさら、負担金が増えてもすべての分野に加入して、ほかの参加自治体と関西全体で取り組むべき課題について議論を尽くすのが民主主義の基本ではないかと、今でも思っております。 今回の大阪・関西万国博覧会の開催にあたっても、関西広域連合の関西パビリオンに、奈良県だけが個別展示を見送るとの報道が、昨年の10月中旬にございました。議決の対象ではなく、私はこの内容を新聞報道で知るという、実に何とも情けない思いをしたものでございます。 報道内容では、2025年大阪・関西万博に出展する関西広域連合は、会場で関西の魅力を発信する関西パビリオンの建築計画の概要を説明しております。京都、兵庫、和歌山、滋賀、三重の近畿5府県と、徳島、鳥取、福井の3県は個別に展示スペースを設けるが、奈良県だけは見送る、となっております。 関西パビリオンは、いのち輝く関西悠久の歴史と現在をテーマとして、映像などで関西全体の文化や産業の魅力などを紹介し、各地への観光誘客につなげることを目的に建設されます。場所は、大阪府と大阪市が万博会場入り口付近に出展する大阪ヘルスケアパビリオンに隣接して建設され、大阪以外の近畿5府県と徳島、鳥取、福井の3県が参加、工事費は約5億2,500万円で、運営費が約10億円、来年9月の着工を目指すとされております。 建物は平屋建てで、灯籠をイメージした六角形のテント型。鉄骨や膜素材を使い、面積はバックヤードも含めて1,700平方メートル、高さは約12メートルであります。中心部には、関西全体を網羅的に紹介する大関西広場、仮称ではございます、それを造り、その周囲に奈良県以外の8府県が個別の展示スペースを設ける予定という内容でございます。 この内容について、我が日本維新の会会派、佐藤議員が、新年1月5日から1月27日の間の数日間で、近鉄生駒駅を中心に、参加すべき、どちらでも良い、参加しなくて良いの、この3つの回答項目でアンケート調査された結果を、パネルで掲示させていただきます。 結果は、参加すべき、の青が254、参加しなくとも良い、の赤は18、どちらでもよい、の黄色は17、サンプル数289で、県民の皆さんは約90%の方々が参加すべきの声であり、奈良県の方向に疑問を示されております。 12月の我が日本維新の会会派、小林議員による、関西広域連合が設置するパビリオンに奈良県は独自の展示スペースを設けないと聞いているが、万博期間中の奈良県への誘客に向けて、来年度以降どのような取組を検討しているのか、との趣旨の代表質問に対する荒井知事の答弁は、まず奈良に泊まっていただき、そこから万博に行ってもらうような仕掛けをつくる、とのことでございました。しかし、2025年4月13日から10月13日の184日間の万博開催期間に、関西全体での誘客促進策とは別に、奈良県単独での独自策で、どれだけ万博会場へ足を運ぶ方たちを先行して奈良へ誘客ができるのか、いささか不安に感じております。 そこで、知事にお伺いいたします。 大阪・関西万博を訪れる観光客に、奈良に泊まって万博会場に行ってもらうような仕掛けづくりについて、今後、どのように取り組んでいかれるものでしょうか。 また、私たちの世代は、1970年の大阪万博のことを鮮明に覚えております。当時のテーマは人類の進歩と調和で、アメリカ館では月の石の展示、ソ連館では宇宙船ソユーズの展示があり、世界各国のパビリオンは大人気であったと覚えております。数回会場に行ったことも、非常に鮮明に覚えています。現在、跡地には今も太陽の塔が保存され、万博記念公園として多くの人が集う場所となっております。 万国博覧会は、度々開催されるものではありませんので、県内の子どもたちが世界に目を向ける体験の1つとして有意義な経験ができるものであり、ぜひとも会場に足を運んで、万博を通じて未来社会と世界を体感してもらいたいと、こう考えております。大阪・関西万博の開催期間中に、県内の子どもたちが万博会場を訪れる機会を創出すべきだと考えますが、知事のご所見をお聞かせください。 次に、2050年ゼロカーボンシティを目指すため、その取組について知事にお伺いいたします。 海のプラスチックごみの量は年々増え続けており、2050年までに世界中の魚の重量を超えてしまうのではないかと、こういう予想が発表されています。 過日、アジアコスモポリタン賞の受賞式で大賞を受賞されました、前OECD事務総長アンヘル・グリアさんの記念講演の結びの言葉でも、「2050年には、現状のままでは海はプラスチックでいっぱいになり、魚の量を上回ると推測されている。世界は協力して、よりよい政策を続けなくてはならない。」と、同じ内容を引用されておりました。先日、大阪湾に迷い込んで死亡したマッコウクジラも、ひょっとするとプラスチックの誤食が死亡原因だったのかもしれません。 また、昨年4月には、東京都23区2つ分の大きさがある巨大な南極の棚氷が完全崩壊した様子の衛星写真が公開されております。地球温暖化対策は、待ったなしであります。 このように、深刻化する環境問題は、世界全体で取り組まないといけない課題でございます。 この課題に対する世界の動きとしては、1997年に地球温暖化防止のための国際会議(COP3)で取決められました京都議定書においては、2008年から2012年の間に、1990年比で6%の温室効果ガスの排出削減を義務づけられました。会議開催国であります日本は、この目標を着実に達成しましたが、発展途上国に対する義務づけがないことで、京都議定書は有名無実となってしまいました。 そこで、地球の未来を考え、2015年、京都議定書に代わる新たな国際的な枠組みとして、パリ協定(COP21)が世界200か国の合意のもと成立し、世界の平均気温上昇を、産業革命前と比較して摂氏2度より十分低く保ち、摂氏1.5度に抑える努力をすることが目標となり、達成に向けて、世界各国の取組が進められております。このパリ協定の目標達成に向け、日本国内でも地球温暖化対策推進法が改正され、地方公共団体も目標達成のための施策に取り組んでいくことに努めることとされております。 地方公共団体が地球温暖化対策、すなわち脱炭素施策に対する取り組む意識を示すものとして、2050年ゼロカーボンシティ、CO2を実質ゼロにするとの表明でございますが、こういう手法がございます。 環境省のホームページによりますと、2050年二酸化炭素排出実質ゼロ表明自治体の数は、先月末の時点で、都道府県及び市町村を合わせて831自治体となっております。奈良県は350番目に宣言している一方、県内39市町村のうち、宣言済みは3市2町のみという現状であります。県内の市町村では、ごみ処理などをより合理的な事務事業の手法として広域化、共同化が進められており、一部事務組合の中には、設立趣旨を無視している団体があり、自治紛争に至っているケースがございます。これは、市町村レベルでは脱炭素施策の重要性が十分に理解されていないことや、利己的な考えを容認する政治姿勢が主な原因であるのかもしれないと私は思っております。 そこで、知事にお伺いいたします。 私は、県は市町村とともにゼロカーボンシティを目指して取り組むべきであり、県内市町村それぞれの特性に応じた手法を奈良県が提案し、市町村の取組を促進すべきと考えますが、知事のご所見をお伺いいたします。 また、第4次奈良県エネルギービジョンの発表が昨年行われました。脱炭素社会の構築に向けたエネルギー施策として、全世界がEV、いわゆる電気自動車ですが、この普及に向けた取組を加速する中で、観光面、防災面から、奈良県のEV普及に向けた目標設定が低いことが課題であると、私は思っております。第4次奈良県エネルギービジョンにおいて、次世代自動車の普及促進が掲げられております。その内容は、取組姿勢のみが記載されており、具体的な数値目標であります指標項目が、公用車の電動車率、その中期目標値も更新計画に基づき順次導入と、定性的であり、県の姿勢に積極性が欠けていると感じております。 私は、観光等で使用されるレンタカー等へのEV普及を考えたとき、まずは不慣れな土地でもすぐに充電ができるよう、十分な充電場所の確保が必要であり、そのためにはEV充電スポットの県全体での設置必要数を明確にする必要があると思っております。また、災害時におけるEVの活用という点で、震災などによる大規模停電の事態でも、EVを通常時と同じように活用ができるよう、民間施設の駐車場、あるいは公的施設の大規模駐車場に、災害時の需要を満たせるEV充電スポットを一定数確保する設置基準を設けるべきだと考えております。 脱炭素社会の構築に向け、重要な施策でありますEVの普及に向け、EV充電スポットの計画的な整備方針や、災害時に備え、公共及び民間の大規模な駐車場への設置基準を策定すべきと考えますが、いかがでしょうか。知事のご所見をお伺いいたします。 次に、大和川水系の人口集中地区における洪水対策について、知事にお伺いいたします。 洪水などからの逃げ遅れゼロと社会経済被害の最小化を目指して、平成29年に水防法の改正が行われましたが、国土交通省ではそれに先立つ平成28年5月に、大和川水系大和川について、洪水が発生して浸水した場合の水深を表示した洪水浸水区域図が発表され、過去に何度か危機感を持って、この図面を用いて関連質問をさせていただきました。 一昨年の12月末、大和川が全国で初めて特定都市河川の指定を受け、気候変動の影響による降雨量の増加や、流域の開発に伴う雨水流出量の増加などにより、浸水被害が著しい大和川流域において、雨水貯留浸透施設等の積極的な推進及び流域の持つ保水・貯留機能の適正な維持、水防災に対応したまちづくりとの連携、住まい方の工夫など、総合的な流域対策の効果的かつ円滑な実施を図るため、流域水害対策の作成及び変更に関する協議並びに流域水害対策計画の実施に係る連絡調整を行うことを目的に、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、流域水害対策協議会が昨年1月に発足いたしました。 県内で発生しました昭和57年8月の大水害、平成29年10月の台風21号による水害は、いずれも内水による被害だけではなく、大和川の支流からの溢水によるパターンもあったことは、ご承知のとおりでございます。 分かりやすい事例として、地元の大和川水位状況と、葛下川の状況写真などを使って説明をさせていただきます。 平成29年10月の台風21号によります大和川水位データを検証いたします。ちょうど今、パネルを出させていただきました。議場内にも配付をさせていただいております。 表のとおり、王寺地点、藤井地点で計画高水位を超えており、王寺地点では午後9時40分頃に計画高水位を超えたと思われます。そして、藤井地点では水位計が測れない事態に、いわゆる欠測が、夜中の11時に生じておりました。そして、午前零時30分頃、大和川王寺地点では過去最高水位を記録し、計画高水位を1.14メートル上回っていたと記録されております。計画高水位を上回るという、非常に危ない事態に陥ったわけであります。 奈良県の大和川最下流に位置する私の選挙区であります王寺町、河合町、上牧町、広陵町の北葛城郡は、大雨のたびに水防体制が敷かれ、浸水常襲地域の方々が常に心配されております。町を守るためには、前述の浸水想定区域図を参考にし、住民主体で考えた地区防災計画による早期避難体制の確立に加えて、より一層の安全対策として、大和川堤防の強化対策が必要であると考えております。 昭和57年8月大水害から40年が経過して、計画の見直しを重ねて、牛歩のごとく、少しずつではありますが、河川改修が進んでおりますが、近年の想定外ともとれる降雨により、河川の洪水リスクは年々大きくなるばかりであります。例えば、平成29年10月の台風21号では、昭和57年8月水害の1日降雨量を上回り、県内最下流部の王寺町内大和川水位は、表-1のとおり、計画高水位を大きく上回っていました。 また、大和川が特定都市河川に指定されたことにより、大和川上流域の流域市町村と協力して、今まで以上の内水対策の強化と、大和川本川の流下能力向上に取り組まれるものと思いますが、大和川と葛下川に挟まれている王寺町舟戸、久度、王寺地区は人口約8千人が暮らし、JR王寺駅というターミナル駅があること、そして消防署、郵便局、役場、ホテル、大規模商業施設等の重要施設があることから、北葛城郡、生駒郡、いわゆる西和地域でございますが、この中心的な場所であり、二度と大和川に起因する洪水被害を発生させてはならない地域であると、常々私は思っております。 このことから、昨今の気候変動による影響を踏まえた河川整備計画の見直しなどが必要と考えますが、大和川水系の人口密集地区における洪水対策をどのように進めていかれるのか、知事のご所見を伺います。 次に、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 先日、一級河川の支流の洪水予報強化をするため、新システムを活用してバックウォーター現象を予測可能にするとの報道がございました。記事は、1月23日の読売新聞を参考に読ませていただきます。 全国に109ある一級水系は、主に本流を国が、支流を都道府県が管理する。それぞれが水位を観測して、洪水予報を発表するが、支流は本流の水位を加味する必要があり、技術的に難しく、予報できない河川が少なくなかった。 特に、バックウォーター現象は予測が難しく、2018年の西日本豪雨で51人が死亡した岡山県倉敷市の大規模浸水の要因となった。そして、2020年の九州豪雨でも、球磨川の支流の沿岸にあった特別養護老人ホームで、14人が亡くなっている。 新システムでは、国が都道府県から支流の水位データの提供を受け、本流と合わせて分析し、6時間先までの水位を予測することで、都道府県はこの予測に基づき、氾濫危険情報など、洪水予報を発表できるようになるとされ、109の一級水系を構成する本流と支流計1万4,075河川のうち、洪水予報の対象は、国が298河川、都道府県が77河川だったものが、新システムでは、都道府県分が約900に増えて、大規模な被害のおそれのある流域はおおむね対象となり、国土交通省は関連する水防法と気象業務法の改正法案を今通常国会に提出する方針であると、こういう記事でございます。 国土交通省は、2023年度から都道府県と連携し、一級河川の支流の洪水予報を強化するとして、本流と支流の水位を総合的に分析する、新たに開発したシステムを活用し、本流の増水で支流がせき止められ、逆流、氾濫するバックウォーター現象の予測が推進され、例えば、王寺町においても大和川の増水時に迅速な避難対応が可能になると考えられます。 王寺町付近の写真を掲示させていただいておりますが、現在、王寺町内の葛下川では、写真のとおり、平成29年10月の台風21号による浸水被害の経験から、葛下川からの溢水被害を防ぐために、大和川合流部から王寺町役場付近まで、右岸側約900メートルにわたって、王寺町により土のうが積まれております。この対策は、王寺駅を中心とした中心市街地を洪水から何としても守る、そういう王寺町の強い意思の表れでございます。設置から数年が経過しますが、いまだに仮設の状態が続いています。 そして、国道25号に架かる達磨橋から上流部の両岸は、大和川からバックウォーターに対する対策工事を高田土木事務所により準備中でございます。平成29年10月の台風21号により溢水被害のあった前田橋付近は、写真のとおり、パラペット構造による洪水対策が既に実施済みとなっています。前述のバックウォーター現象の予測ができたとしても、洪水への備えを強化する対策がぜひとも必要であると私は考えております。 バックウォーター現象による浸水被害発生に対して、溢水や最悪の事態である堤防決壊までの時間を少しでも長引かす対策について、県はどのように取り組まれるのか、県土マネジメント部長にお伺いいたします。 最後に、王寺駅周辺のまちづくりについて、地域デザイン推進局長にお伺いいたします。 奈良県、地方独立行政法人奈良県立病院機構、王寺町、西日本旅客鉄道株式会社は、地域と鉄道の連携による相互の持続的発展に向け、4者が相互に連携・協力しながら、王寺駅周辺地区のまちづくりに関する取組を推進するため、令和4年10月28日に連携協定を締結したと発表がございました。 JR王寺駅周辺は過去より鉄道のまちとして栄え、以前は昭和橋商店街を中心に小規模商店が立ち並んでいましたが、大阪のベッドタウンとして増加する周辺自治体の利便性を同時に高め、王寺町の将来を考えて、昭和47年から昭和61年にわたって行われました王寺駅南側の大和都市計画事業、王寺駅南土地区画整理事業、そして、平成8年から平成16年に実施されました王寺駅北再開発事業によって、王寺駅周辺は大きくさま変わりをしました。 しかし、周辺自治体の人口は減少し、ベッドタウンであった大規模団地は、高齢化が進むとともに空き家も目立つようになってきております。私が住んでおります地域の高齢化率は、実に50%に近づいており、自宅近くで子どもの声を聞くことは本当に少なくなり、大規模造成地のまちづくりの見直しも必要であると実感いたしております。 造ったものは、いずれは老朽化し、長寿命化対策や改築を余儀なくされます。JR王寺駅周辺のインフラも老朽化が進んでおり、国道25号の昭和橋車道部は、今、62歳になっております。そろそろ改築の時期が近づいております。 王寺駅南側は西和医療センターの移転候補地であることも踏まえ、駅ターミナルを抱えるまちづくりは鉄道、河川、国道、街区計画、そしてその他の都市施設の配置を行政区域の枠を超えて総合的に考え、50年先、100年先を見据えた計画を立案しなくてはなりません。 私は、この地域のまちづくりを考えるにあたっては、現状では、王寺町が主体的に考えていかなくてはならないことは当然ではございますが、50年、100年先を見据えた計画を検討するにあたっては、建蔽率、容積率など、既存の制度に必ずしもとらわれず、大胆な発想で規制緩和の検討を進めていくべきであり、県も王寺町の検討内容をしっかりと支援していただきたいと、こう考えております。 そこで、地域デザイン推進局長にお伺いいたします。 少子高齢化が続いている現状で、将来を見据え、地域全体が栄えるまちづくりを推進するために、奈良県は王寺町とどのように協働して王寺駅周辺地区のまちづくりを進めていくのか、お聞かせください。 以上で壇上での質問を終わり、答弁の内容により、自席から再質問をさせていただきます。 最後に、今期をもって勇退されます先輩議員の皆様、会派は異なりますが、様々勉強をさせていただきましたこと、本当にありがとうございます。今後も、奈良県のためにご尽力いただきますようお願いを申し上げます。本当にありがとうございました。(拍手) ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) (登壇)16番清水議員のご質問にお答え申し上げます。 まず、最初のご質問は、大阪・関西万博についてでございますが、そのうち最初のご質問は、関西万博と周辺観光地の関係というテーマであったかと思います。その関係は、開催に周辺県も含めて協力するという面と、開催によって受益するという2つの方向がございます。 まず、受益する面についてでございますけれども、かつて平城遷都1300年祭を奈良でしたときに、大阪の利用者さんは大阪に泊まって奈良に行こうと、奈良は泊まるところもないし、おいしいところがないからと宣伝されました。大変悔しい思いをいたしましたけれども、平城遷都1300年祭はたくさんのお客様に来ていただきまして、県の信貴山とか金峯山寺、吉野町が一杯に、満員になった経験がございます。そのような観光地からお礼を言われました。だから、関西万博におきましても、周辺に、奈良に泊まっていくこと自身は、決して変なことではございません。特に、大きなイベントがあるときは、中心地は混むのと値段が上がるのが普通でございます。サービスが悪くなるので、普通の観光、このようなイベントの観光は、周辺に泊まってゆっくりして、見物だけをして帰ろうというのが普通、はやりでございます。そのようなことを狙ったものでございます。 そのときに、パビリオンの中に、各県の独自の宣伝をするのが効果があるかどうかということでございますが、その場に行って、ここに行こうと決める人は誰もおりません。事前にどこに行こうかと決めて、泊まる場所も、その万博のほかにどこに行くか、みんな情報がありますので、後で説明もいたしますが、事前に決められるのが普通でございます。万博の会場で誘客というのは、ほとんど効果がありません。日本維新の会お得意の、効果と費用対効果の考えだと、直ちに分かる話でございます。効果があればしますし、効果がないのはしないと、日本維新の会の考え方に沿って考えてきたところでございます。 そのように考えますと、もし投資をするなら、誘客の投資は別の投資のほうが効果があるだろうという考えでございます。独自の誘客を、パビリオンでするのではなしに、関西全体の開催スペース、それには中心地と催事スペースがございますが、それには県は当然協力しております。関西万博の、関西広域連合のパビリオンも、全体として1つにしたらどうかと、私は思っておりました。分けると効果がないですよというのは、観光界の常識でございますけれども、分けてすると、何かいいことをやっているという、やっている感を出すだけでございますので、私はそんなのよりも、関西館は全体として関西、すばらしいよということを言ったほうがいいので、それに合ったものには対等に、もちろん協賛する予定でございましたけれども、効果のないところにはお金を出さないと、日本維新の会の精神に沿った考え方をしました。 逆に、協賛して万博を応援しようということは、ガストロノミーツーリズム国際大会を奈良でしたときには、万博の宣伝を一生懸命いたしました。例えばICOCAの券を来る人にまいて、万博の宣伝と、万博の周辺は奈良だけではなしに、観光地がたくさんありますよと、事前の宣伝をしたわけでございます。関西は関西として観光地があるのだと、大変、意識を芽生えさせつつあったと思います。京都も含めてです。 そのような観光のプロモーションの常識に沿って考えますと、現場に行って、8県が並んでやったところで、その場でどこに行こうかと決める人は、全然おられないという発想でございます。したがって、奈良の貢献は、いろいろな形でしたいと思っております。この機会は、奈良にとってもいい機会だと思って、訪れていただくいい機会だと思います。 宿泊を伴う国内旅行の大半は、旅行の1週間前までに予約を済ませられます。泊まる場所と訪れる場所も済ませられます。切符とか訪問地の情報が要るからでございます。特に、遠くから来られる方は、必ずそうでございます。 そのときに、旅行の最中、旅なかと言われますものと、旅行の出発前、旅まえと言われるもの、旅まえに奈良の情報に触れさせて、宣伝して、そこに投資をする、予約につなげることが肝要だと思っております。万博を始める前から、ガストロノミーツーリズムはその先例でございましたけれども、奈良の歴史文化だけではなしに、食べて泊まるところが、程度が高いよということを、ガストロノミーツーリズムで宣伝いたしました。かなり効果があったと思います。このレベルの泊まる場所、食べる場所が奈良にあるなら、大阪できゅうきゅうして高い値段で泊まるよりも、奈良で、この値段で、コスパのいいところで泊まって万博に行けたらと、必ず思っていただけると思います。だから、万博には奈良に泊まっていくということは、大きな宣伝のメインになると思います。特に遠くから来られる海外の方は、距離も分かりませんので、ガストロノミーツーリズムに来られた人は、大阪は便利だな、ICOCAで3,000円で随分いけるのだな、と思っておられたと思います。 また、それとともに、今後とも海外の旅行商談会、旅行博などへの出展、メディアの記事掲出、PRなど、海外、遠地における奈良の魅力などを発信して、万博をきっかけに奈良のよさを知ってもらうと、おいしいところあるよ、泊まるところも立派だよということを知ってもらおうと思います。そのためには、滞在プランの造成をしっかりしてもらうということが、一番大きなことだと思います。 2つ目の万博の関係で、県内の子どもたちが万博会場を訪れたらどうかと、私もそのとおりだと思います。子どもたちがこのような万博を経験することによって、子どもの頃の楽しい思い出になると思います。五感で感じ、体験して、知の探究を深める絶好の機会だと、昔の万博とまた違う意義が、子どもたちにあると思います。 昨年の12月に国際博覧会担当大臣から文部科学大臣に対しまして、子どもたちに修学旅行や校外学習で万博会場を訪れてもらえるよう要請がされたようでございますし、今年2月の全国知事会におきましても、政府としても修学旅行・校外学習と合わせて120万人の子どもたちに万博会場を訪れてもらうことを目標としているという発言がございました。 現在、2025年日本国際博覧会協会において、万博の具体的な入場料金や予約方法などが検討されており、まだ分かりませんが、展示内容も、子どもたちがわくわくするようなところになるべく行ったほうがいいかと思いますので、まずどこに行くかということもよく分かりませんが、2年後に迫っておりますけれども、国のそういう方針でございますので、本県においてもそのような機会を捉えて、本県の子どもが万博を楽しんで、記憶に残るということをぜひ仕掛けていきたいと思います。 次のご質問は、ゼロカーボンシティ2050を目指す取組についてのご質問でございます。 2050年までに温室効果ガスの排出量を実質ゼロにするゼロカーボンシティを実現することは、我が国全体の目標でございます。本県においても、県内市町村とともに脱炭素社会の構築に向けた取組をしていきたいと考えております。 その取組の1つでもございますが、県と磯城郡3町で協働して取り組んでおります大和平野中央田園都市構想において、地域特性に応じた脱炭素化の手法を提案・検討しております。 具体的には、県と早稲田大学との連携事業を活用して、本構想地域における再生可能エネルギーのポテンシャルを調査し、地域特性に応じた再エネ設備の検討に役立てるとともに、発電した電力を地元の公共施設等へ供給する仕組みができないかといった検討をしております。この検討にあたりましては、環境省が2030年度までに全国100か所程度を選定し、重点的に支援するとされております脱炭素化のモデル事業、脱炭素先行地域に選定されることも視野に入れているところでございます。今後、このモデル事業への応募を通じて得られる知見につきましては、ほかの市町村へも浸透を図ることにしたいと思います。 このように、地球温暖化対策実行計画を策定していない市町村への策定支援も行いたいと思っております。脱炭素社会の構築は、長期間の取組でございますけれども、大和平野のプロジェクトも活用していきたいと思っております。 また、EVをどのように支援するのかというご質問がございました。EV、電気自動車の充電スポットの整備につきましては、主要道路上の充電スポットの空白地帯をなくす、いわゆる電欠を回避するといわれます経路充電と、ホテルや商業施設、一定時間帯在する目的地において充電します目的地充電に分けて整備をするというのが常識になっているようでございます。 本県におきましては、経路充電につきましては、主要道路で30キロメートルごとの設置がされ、長距離移動での電欠を回避できるインフラが、93か所整っております。目的地充電につきましては、113か所となっております。 整備密度で見ますと、全国の1,000平方キロメートル当たり87.6基に対しまして、奈良県は88.6基と、全国並みの整備水準でございます。しかし、EVの数とか、そういう基本の資料とも比較しなければいけないと思います。充電スポットの経年変化を見てみますと、2021年時点でのEVの台数は12万4,000台でございますが、その前の2017年は7万3,000台と、約70%も増加していますが、同時期の充電スポットは4%の増加にとどまっております。伸び率としては少ないということでございますが、過不足がないかどうかということになってくると思います。 清水議員お尋ねの駐車場におけるEV充電スポットの設置基準策定、これも大事なことだと思います。EVの普及見込みや走行可能距離など、必要なエビデンス、どこにどれだけ設置すればいいのかというエビデンスが要ると思います。国の動向、民間の技術進展の状況を見ながら、検討を考えていきたいと思います。設置を考えていきたいと思います。 大和川水系の洪水対策についてのお尋ねがございました。 大和川本川では、昭和57年の洪水と同規模の出水が発生しても、洪水氾濫による浸水被害が生じないことを目標といたしました大和川水系河川整備計画が、国により策定されています。 近年の気候変動等を踏まえた河川整備計画の見直しにつきましては、全国的にも議論が始まったところでございます。大和川水系河川整備計画の見直しにあたりましては、県といたしましても、国や市町村と、計画対象降雨などについて議論を進めてまいる必要があると考えております。 一方、現在の大和川流域の河川は、現在の河川整備計画に照らしましても、まだ整備の途上にございます。まだ完成しておりません。県では、国・市町村と連携して、河川の水位を下げるためのながす対策と、河川への流入を抑制するためのためる対策とを組み合わせて実施しているところでございます。 ながす対策といたしましては、大和川直轄管理区間の王寺町藤井地区などでの河道掘削や、川西町保田、安堵町窪田地区での遊水地整備が進められています。県管理河川におきましても、葛下川上流や曽我川などで河道拡幅等を進めているところでございます。 ためる対策につきましては、従来から総合的な治水対策として、雨水貯留浸透施設の整備や、ため池の治水利用等を実施してまいりましたが、加えまして、平成30年から県と市町が連携して、奈良県平成緊急内水対策事業に着手いたしました。100年に一度の大雨にも耐えるよう目標を掲げまして、取り組んでいるところでございます。 このような取組に対して国が注目してくれまして、大和川が特定都市河川に指定されました。今のところ、大和川だけの指定でございます。国からの補助率が3分の1から2分の1に拡充され、この結果、加速度的に内水対策事業が進んでいるように見受けられます。 また、大和川流域における5つのダムがございますが、洪水調整機能を最大限に活用するため、令和2年に管理者であります県と、上水道などの利水者が治水協定を締結し、ダムの事前放流を実施することで、ダムの治水容量を拡大し、下流への流水量を抑制しているところでございます。利水と治水をどのように調整するか、結構技術の要るところでございます。ため池も同じでございます。今後とも検討を深めて、合理的に治水利用も進むようにしていきたいと考えております。 引き続き、近年の激甚化・頻発化しております水災害に対応するため、流域全体であらゆる関係者が協働し、災害に日本一強い奈良県を目指して、大和川の治水対策を強力にしてまいりたいと思います。減災対策をすれば、それだけ減災されるということは、身にしみることでございますので、努力を積み重ねていきたいと思っております。 私に対する質問は以上でございました。ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) (登壇)16番清水議員より、大和川のバックウォーター現象による浸水被害に対し、堤防決壊までの時間を少しでも引き延ばす対策、どのように取り組むのかというご質問をいただきました。お答えいたします。 清水議員お述べのとおり、大和川流域では昭和57年の洪水や平成29年の台風21号で、溢水による浸水被害が発生しました。大和川の支川の葛下川流域におきましても、昭和57年の洪水で大きな浸水被害を受けました。河川激甚災害対策特別緊急事業の適用を受け、国において、河道掘削や築堤、橋りょう架替など行われまして、昭和57年の同規模の出水が発生しても溢水しないような河川整備が既に完了しています。この際の河川整備は、昭和57年洪水時の大和川本川からのバックウォーターからの影響も考慮して行われています。 しかしながら、近年の気候変動等も踏まえれば、昭和57年を上回る洪水が起こることも想定されるため、仮に氾濫した場合にも被害を軽減するよう、達磨橋の下流右岸の約200メートルの区間で、遮水矢板や法覆護岸工による堤防強化も実施しているところでございます。 また、王寺町では平成29年の出水を受けまして、大変意欲的に水防活動にも取り組んでおられます。県としましても、水防活動に寄与する植樹ますを設置するなど、王寺町の水防活動に協力しているところでございます。 引き続き、国や王寺町とともに洪水氾濫による浸水被害の防止に努めてまいります。 以上でございます。ご質問ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 岡野地域デザイン推進局長。 ◎地域デザイン推進局長(岡野年秀) (登壇)16番清水議員から、王寺駅周辺のまちづくりについてご質問いただきましたので、お答えをさせていただきます。 王寺駅は、西和地域最大の交通結節点であり、周辺地域一帯はこれまで大阪のベッドタウンとして発展してきました。一方で、駅前には青空駐車場等の十分に利用されていない土地も散見され、また、郊外のニュータウンの一部では、高齢化の進展による空き家の増加や、通勤利用の減少による公共交通サービスの低下等が懸念されてございます。 このような中、県と王寺町は、平成28年に王寺駅周辺地区についてまちづくり包括協定を締結し、その後、平成30年5月にはまちづくりのコンセプトを西和地域の中核となる拠点機能の強化とするまちづくり基本構想を策定したところでございます。 これに基づきまして、安全・安心、暮らし・活力、観光交流、利便性の4つのテーマのもと、王寺駅周辺の拠点機能の強化について、県と町の協働で取組を進めているところでございます。 具体的には、県におきまして、駅南エリア西側で西和医療センターの移転整備の検討を行ってございます。昨年10月には、奈良県、県立病院機構、王寺町、JR西日本の関係4者で協定を締結し、実現に向けて本格的に調査・検討を始めているところでございます。 あわせまして、駅東側では王寺町が交通結節機能をさらに高めるため、駅前広場の再整備について調査・検討を開始されました。また、駅前に人が集まり、賑わいが創出されるよう、商業施設や事業所の誘致、低未利用地の利用を促進するため、都市計画の規制緩和などについても検討していくこととされております。 西和地域の玄関口である王寺駅周辺のまちづくりは、王寺町のみならず、広く西和地域全体に効果が及ぶ極めて重要なプロジェクトと認識してございます。今後とも、まちづくり連携協定に基づき、王寺町と密に連携し取組を推進してまいります。 以上でございます。ありがとうございました。 ○副議長(西川均) 16番清水勉議員。 ◆16番(清水勉) それぞれご答弁、ありがとうございました。 まず、知事に再度、愚問かもしれませんが、このパネルを見ていただいて、奈良県の県民の皆さんが単純に、奈良県も関西広域連合のパビリオンに、奈良県のブースを設けるべきではないのかというのが、9割方のご意見です。単純な質問ですので、何も加えずに、関西万博パビリオンに奈良県だけが個別出展しないことに対してどう思いますかというだけの質問でした。細かい内容は、何の説明もしておりませんので、単純に考えると、やったほうがいいのではないのというのが約9割のご意見でしたので、これに対して、先ほど少しご披露いただきましたけれども、今後のことも考えると、もう始まるまでに2年しかございませんので、この2年の間にどういう考え方で奈良県は、誘客をするのに奈良県独自のパビリオンを設ける必要がないのかということを、再度、知事からお願いしたいと思います。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 奈良県の観光のために、万博のパビリオンで奈良県観光を宣伝するというのは、日本維新の会の観点からは、効果があると思っておられるのですか。そんな、人が言うことを出さなくても、清水代表が効果があるとおっしゃったほうが迫力があると思うのですけれど、そうはおっしゃらないのですか。論争しましょうよ。効果があるかどうか、各ポストで、それが正しいかどうかということを我々が議論するのが、この議場ではないですか。日本維新の会の得意の効果検証をしないといけないと、それが私の役割だと思う。効果のあるところには当然使いますけれど。それは同調圧力ではないでしょうか。新型コロナウイルス感染症でも同じだったですけれど、同調圧力には逆らった経緯があります。今となっては、同調すればよかったかという人は、ほとんどおられないです。 だから、近鉄奈良駅の屋根だって同じようなことをされましたけれども、あの屋根がおかしいと言う人はおられないです。ある党とマスコミと一緒になって、同じようなことを駅前でされましたけれど、その経験がありますから、あんまりこたえないです。先生がそうおっしゃっても。あの手法こたえなくて、効かないですよ。もっと理屈で言ってくださいよ。清水議員の理屈で。このように効果があるから、出たらどうかと言われると、論争になると思います。効果がないのにお金使うのは、冒涜になるではないですか。冒涜になるではないですか。効果があるから出せとおっしゃるのがいいかと思います。 ○副議長(西川均) 16番清水勉議員。 ◆16番(清水勉) 再度、ここに観光庁の観光統計、これは知事もよくご覧になっていると思います。資料はございませんけれども、これの11月分を見ますと、1月31日に発表されております。都道府県別延べ宿泊者数、全国で4,609万2,730人泊と、こういう非常に多くの方が泊まっておられるのですが、そのうち大阪府内は352万800人泊、そして、奈良県は23万8,260人泊、非常に大きな差があるわけですよ。これはもう知事もご存じのとおりで、大阪の部屋数は12万室あって、奈良県は1万室しかございません。この数的な比較をしていくと、断トツにやはり大阪のほうが多いので、仮に奈良に泊まってくださいという形で旅行商品を造成したとしても、結構難しい旅行商品の造成になるのではないのかと、こう私は思うのですけれど、その点について、今後、先ほども言いました、2年しかありませんので、相当な数値的な目標、そして知事お得意のエビデンスに基づいた内容を検討していかなくてはならないと思いますので、その点についてはどうでしょうか。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 観光の常道に従ってお客さんを扱うのが、一番いいかと思います。観光の常道というのは、サービスのいいところに、コスパのいいところにお客さんは流れるということであります。奈良のサービスは、大阪が宣伝したように、おいしいものがないよ、泊まるところもグレード低いよと言われたのは、もう10年前です。そこから随分上がってきました。いいホテルもできてきました。奈良でこんなに、ガストロノミーツーリズムに来た世界のトップクラスの観光客は、奈良がこんなところだとは知らなかったという声が聞こえています。だから、10年たつと随分変わるのですよ。先生。変わるのですよ。昔からの、同じこと言っていちゃ駄目ですよ。変わった奈良を見てもらいたいという願いを持たないと駄目ですよ。だから、奈良に泊まるということが一番、我々の観光の、奈良の観光のいちばん大事なことではないでしょうか。その方向に向かって、我々協力したほうがいいかと思います。 ○副議長(西川均) 16番清水勉議員。 ◆16番(清水勉) 時間があんまりございませんので、このことばっかりお話ししていると、ほかの質問ができなくなりますので、また改めて、私、予算審査特別委員会にも出させていただきますので、詳細にわたって改めて聞かせていただきたいと思います。 では、先ほどゼロカーボンシティの件で少しだけ触れさせていただきました。質問要旨とは少し異なりますけれども、一部事務組合の中で自治紛争に至っている、このケースがございます。ここに訴状があるのですが、これは王寺町から香芝市の清掃事務組合に向けた訴状であります。原告被告間において、不当請求に対して支払いはいたしませんと、そのことを、債務が存在しないことを確認するという訴状が提出されております。私自身もそうですけれど、我々議会人、当然のことながら、条例あるいは法律に基づいて様々議論をさせていただく、これが当たり前と思うのですが、この内容をずっと精査してみますと、恐らく知事、そんな細かい内容についての言及というか、答えを知事に求めるわけではございませんけれども、自治紛争に至るこういう事態が県内で発生している、このことに対しての、知事がどう思われているのか、その点だけ少しお伺いしたいと思います。 ○副議長(西川均) 荒井知事。 ◎知事(荒井正吾) 王寺町と香芝市の、ごみの持込みの費用負担をめぐる問題、大体は承知しております。そのごみの処理をするところと、その排出で、どこのごみかということは大変センシティブな問題であろうかと思います。どのように調整すればいいのか、住民感情もあります、なかなか調整が難しいと思います。 今度の香芝市、王寺町の紛争につきましては、いろいろ、それぞれの言い分があるように聞いております。むしろ、町と市は、行政はもうきちんと取組をされていますので、地元の方が、その費用負担をするのはどうかというような感情があるように聞いております。なかなか難しい、感情の入った課題ではありますので、どのようにやるか、私どもの立場は、それぞれの市と町で、ごみの出すところと受け入れるところの関係、協定をうまくやってくださいねということに尽きると思いますが、何かいい、こういうやり方でやったらというアイデアがありましたら、もちろんアイデアを提供することはやぶさかではございませんが、まだそこまで、なかなか、ごみ処理についてはいっておりません。水道とまた違う難しさがあるように思っております。十分ではございませんが、そのぐらいしか考えはまだ至っておりません。 ○副議長(西川均) 16番清水勉議員。 ◆16番(清水勉) 細かい内容についての言及は、私も避けますけれども、これから先、こういう自治紛争が起きるということ自身が、一番最初に決めたこと、そのことをひっくり返しにくるということが、数十年たってからこういう事態が起きるということ自身が、私自身、なかなか理解ができないわけです。ですので、ぜひとも奈良県もこのことに対して、相談があったときには真摯に対応していただきたいと、かように思いますので、よろしくお願いしておきたいと思います。 少し時間がありませんので、最後に県土マネジメント部長に再度お伺いをしたいのですが、バックウォーター現象に対して、当然やるべきハード的な整備、それと、今後、どういう方向でやっていったらいいのかというのが結構難しくて、先ほど水防法では、きっちりやっていきますよというお答えもいただいたのですが、実はこれ、配らせていただいているこの写真をよく見ていただきたいのですけれども、この一番下の写真です。これが前田橋の近くにある王寺町の、雨の幹線の樋門です。この樋門の、ゲート室に入る鉄の通路があるのですが、もともと高いところに設定されています。ということは、この高さまで余盛りして、そこに入りますよと、計画ではそうなっていた。ただ、現地は50センチメートルほど低かったという状況になっていたのですよ。ですから、先ほど河川激甚災害対策特別緊急事業で一定の工事完了をしたというお話をいただきましたけれど、河川激甚災害対策特別緊急事業で工事完了したのは、私もよく記憶していますが、国土交通省の27区間の部分については、恐らく完了はしたけれども、それ以外の部分については、少し検証が不足していたのではないのかという気が、いまだにしております。 もう1点、ハイウォーターレベルよりも1.14メートル超えていたということがありますから、現状、ハイウォーターレベルまでは張り護岸をしますけれど、それ以上に水が上がっていたということもありますので、堤防侵食が起こる可能性もあります。これに対して今後、どう取り組まれるのか、この2点、すみませんが、よろしくお願いしたいと思います。 ○副議長(西川均) 清水県土マネジメント部長。 ◎県土マネジメント部長(清水将之) 先ほどのご説明の中で、余盛りという言葉も出ましたけれども、ハイウォーターレベルというのは計画している水位の高さですが、堤防というのは沈下することもありますし、また、その水面が波打つこともありますので、計画の水位よりも余分に高くしている部分を余盛りと言っておられます。この余盛りの高さが、場所によって高いところ、低いところ、実はございますので、低いところについては、水がそこは比較的あふれやすくなってくるので、そういうところを高くしてほしいという要望をいただいたりしています。そういったところは、計画の、ハイウォーターレベルの高さはあるのですけれども、水があふれてしまうと、堤防が、壊れやすくなってしまいますので、あふれにくくする水防活動の一環ということで協力していきたいと考えております。 それから、ハイウォーターレベルよりも既に水位が、実際高くなってしまっているという現象が起きておりますけれども、これは例えば大和川本川で、直轄で今、遊水地整備しておりますけれども、計画というのは、その遊水地が整備されたということを前提にする計画の高さになっているわけです。ですから、将来的に遊水地ができれば、その計画高水位より高くなるということは、想定している降雨では出ないのですけれども、遊水地ができていない状態の現在においては、そこまでの雨ではなくても、計画高水位より高くなる場合がある。そうすると、この間の平成29年のときのように、ハイウォーターレベルを越えた、計画高水位を超えた水位になるということも当然ございます。そうしたときに、壊れてしまうと。堤防の上に水が流れてしまうと、堤防は壊れやすくなってしまいますので、そういうところは防いでいくために、堤防を粘り強くする。水が浸透しにくい構造にするとかいったこともやっていきたいと思っています。そういった、川の状況に応じて、粘り強い堤防、それから水防活動、そういったところもやっていきたい。さらには、そもそも治水安全度を高める抜本的な河川改修、こういったものも国、県、市町村と一緒にやっていきたいと思っております。 以上でございます。 ○副議長(西川均) 16番清水勉議員。 ◆16番(清水勉) 時間が参りましたので、終わりますけれども、改めて詳細については予算審査特別委員会等で、また聞かせていただけたらと思います。ありがとうございました。   -------------------------------- ○副議長(西川均) 5番山中益敏議員。 ◆5番(山中益敏) 本日はこれをもって散会されんことの動議を提出します。 ○副議長(西川均) お諮りします。 5番山中益敏議員のただいまの動議のとおり決することに、ご異議ありませんか。     (「異議なし」の声起こる) ○副議長(西川均) それでは、さように決し、明、2月28日の日程は、当局に対する代表質問及び一般質問とすることとし、本日はこれをもって散会します。 △午後5時11分散会...